☂︎

幾度となく、死を考えた。

起きていようが眠っていようが、

「明日にはもう私は居ない」

そう考え続けていると、顔から表情が消え、言葉を発する事も、社会や人との繋がりや身の回りの雑多な物が鬱陶しくなった。


人間が心を殺すことも

心が人間を殺すこともできる


複雑な繊細さを抱えながら生きているんだ。と気付かされる。

(どんな方法が一番確実か…)

一日が、数時間…数分…数秒と、命のカウントダウンが止まることは無い。

楽に死のうなんて今では思わない。

覚悟を決めた後の目が覚めた時の絶望は、何よりも耐え難い苦しみがある。


そう。心に。


私だけにしか分からない苦しみにもがくくらいなら、手段なんて選ばない。


だからアレしかない。


人との関わりも断ち、私一人のこの家で見つかるのが遅くなれば…

電話も携帯も解約してとっくに捨てたから、自ら助けを呼ぶ事は出来ない。

それでいい

あと15分で日付が変わる


コツ…コツ…コツ。時計も捨てればよかった。


(あんたも私の最期を急かすんだね)


それに…。私を狂わせたアレだけは何故か捨てることが出来なかった…。


(ちくしょう…ちくしょうっ!)


だから書いたんだ。誰も得なんてしない遺書を。最期の足掻きが「さようなら」しか浮かばないなんて…


考えていたらもう5分経ってしまった。

台所に行って、もう準備しなきゃ。

それにしても…何度目だろうか?いつからだろうか?


瞳の奥が熱くなる。


人間ってね…。強い意志が無くても、一瞬で輝くことも腐ることも出来るんだよ。

お願い。誰にお願い?アレより私の言葉を声を心の声を聞いて!


躊躇うことなく光る刃を突き刺した。

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