第13話
僕は彼女の目を見つめました。彼女も僕の目を見つめました。そうして見つめあっているうちに、僕はふいに、彼女が僕のために、どれほどのことをしてくれたのかを悟りました。
僕はゆっくりうなずきました。
「さあ、そろそろこの
彼女はにこやかに微笑むと、目を閉じてしまいました。僕は思わず彼女を引き留めようとしました。でも、彼女が僕のためにしてくれたことを考えると、もうこれ以上わがままは言えないと思いなおしました。
「ユキコさん、君の言う通りだね。僕も精いっぱい生きてみるよ。ありがとう、君を好きになれてよかった。」
僕はため息をつくと、そっと彼女をゆりおこしました。
「しっかりしてください。目を開けてください。」
しばらくすると、彼女は目を開けました。
顔を覗きこんでいる僕と目があうと。ほほがさっと赤くなったようでした。彼女はあわてて起き上がると、はにかんだように微笑みました。
「ごめんなさい。私ったら、どうしちゃったのかしら。」
「あの電話にさわったら、急に倒れちゃったんです。本当にびっくりしましたよ。もう大丈夫ですか。」
「ええ。もう大丈夫です。そろそろ行かなくっちゃ。」
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