カブトムシ
少年は家に帰宅すると部屋の机に虫かごと復活ボタンを置いて、動いているカブトムシを確認してからリビングにおやつを取りに向かう。隠れていた両親がコソコソと少年の部屋に入る。
「パパ! 今のうちよ」
「優人が来ないように見ててくれよ」
少年、優人の父親は生きたカブトムシを片手に部屋に置いてある虫かごを開けて復活ボタンで生き返ったはずのカブトムシと新しい生きたカブトムシとを入れ替えた。
「これで、優人の泣き顔を見なくてもすむな……」
「本当に良かったわ……」
父親と母親は安堵の表情を浮かべ、取り替えたカブトムシの死骸をティッシュに包んでゴミ箱に捨て部屋を出た。
「あれ優人、帰ってたのか? こんな暑い中どこ行ってきたんだ?」
リビングでおやつを食べている優人に悟られないように父親が声を掛け、母親も何事も無かったかのようにニコニコと笑顔を振りまいていた。
「パパ、ママ! 聞いて、神社でねカブトムシの復活ボタンを貰ったんだよ!」
興奮気味に優人が神社で会った男のことや復活ボタンのことを両親に話す。それを聞いていた父親と母親は、少し不思議に思いながらも我が子が笑顔で喜んでいる姿に満足し、聞き流した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます