第6話

 権堂氏は『出直してくる』と言って帰っていったが、その後、僕も気になった。

 確かにあんな宙域に別荘を作るなんておかしい。

 何か僕に言いたくない目的があるとは思っていたが、その目的が、もし権堂氏の言うとおりで、井上さんが武器輸出に関与しているなら……

 もし、その武器で子供が殺されるような事があったら……いや、僕に責任があるわけじゃない。

 でもなあ……後になってタウ内戦で死んだ子供の映像がニュースに出たりしたら。


『パパ、あの子かわいそう』


 なんて娘が泣いたらどうすりゃいいんだ。

 ええい!! とにかく確かめてこよう。

 権堂氏が帰ってから数時間後、僕は小型宇宙船を操縦してワームホールを抜けた。

 井上さんの宇宙ステーションはすぐ目の前にあった。宇宙ステーションは直径二十メートルの球体をいくつも数珠つなぎにしたような構造。ごくありふれたものだ。

 それより、気になったのは宇宙ステーションを取り囲むように配置されている巨大なアンテナ群。直径一キロはありそうな、パラボラアンテナが百基近く配置され、同一方向を指向していた。

 いったい井上さんはこれで誰と連絡を取ってるんだ? タウの武器商人との連絡用にこんなアンテナが必要なのか?

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