第6話
権堂氏は『出直してくる』と言って帰っていったが、その後、僕も気になった。
確かにあんな宙域に別荘を作るなんておかしい。
何か僕に言いたくない目的があるとは思っていたが、その目的が、もし権堂氏の言うとおりで、井上さんが武器輸出に関与しているなら……
もし、その武器で子供が殺されるような事があったら……いや、僕に責任があるわけじゃない。
でもなあ……後になってタウ内戦で死んだ子供の映像がニュースに出たりしたら。
『パパ、あの子かわいそう』
なんて娘が泣いたらどうすりゃいいんだ。
ええい!! とにかく確かめてこよう。
権堂氏が帰ってから数時間後、僕は小型宇宙船を操縦してワームホールを抜けた。
井上さんの宇宙ステーションはすぐ目の前にあった。宇宙ステーションは直径二十メートルの球体をいくつも数珠つなぎにしたような構造。ごくありふれたものだ。
それより、気になったのは宇宙ステーションを取り囲むように配置されている巨大なアンテナ群。直径一キロはありそうな、パラボラアンテナが百基近く配置され、同一方向を指向していた。
いったい井上さんはこれで誰と連絡を取ってるんだ? タウの武器商人との連絡用にこんなアンテナが必要なのか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます