Alius fabula Pars42 研究員
研修も無事に終わり、テトラに戻ったディバルは待っていたバレンディアの報告を聞いた。
龍国に依頼していた研究員が"完成"したとの連絡だ。
男型と女型をそれぞれ二体づつの魔工技術生命体ホムンクルスに、龍国における魔法研究に必要な知識と常識に忠誠心をプリインストールされた状態だ。
金髪碧眼で色白の身体は塔に引き篭もってもらうので人族に例えるなら二十歳に設定してある。
「ディバル様、四体の研究員は如何いたしましょうか?」
「ではモナスカに連れてきてくれ、俺も向こうに行こう」
「かしこまりました」
塔の転移場所は決まっているが、ディバルが直接転移するのは自分専用の部屋にある転移場所だ。
転移場所とは座標を特定し、何もない場所でなければならない。
同じ地点に同時に転移しようとしても、片方は弾かれる事になり間をあけての転移となる。
したがって転移した場合は即座に移動する事が転移者の常識であるが、そもそも転移魔法を扱える者は多くない。
誰も居ない室内に転移したディバルは即座に気がついた。
「おっ、随分と綺麗になったなぁ」
ディバルが転移したと同時にシニストラとデクストラは察知した。
「シニストラッ」
「ええ、いらっしゃったわ。お迎えに行きましょう」
最奥の部屋は入口から入ると間仕切りが有り、室内は見えず声を掛けるか念話で入室の許可を取る。
(おかえりなさいませ、アルジ様。デクストラですが入室しても宜しいでしょうか?)
(うむ、入れ)
(失礼致します)
室内には外の景色を立って観ているディバルが居た。
「おかえりなさいませ、アルジ様」
今度はシニストラが声をかけた。
「二人ともご苦労。良い雰囲気の部屋になったな」
「「!、ありがとうございます」」
ディバルから称賛を得て嬉しい二人だ。
「実は今回の装飾品や備品を揃えるにあたり、外部の者に依頼しました」
「そうか」
「ギルド職員でドーズと言う者です」
「うむ。仲良くしてやれ」
「ハッ、かしこまりました」
ドーズの報告は概ね好感を得た様に感じたシニストラとデクストラだ。
「アルジ様、王族の一族の件でご報告がございます」
「何だ?」
「ギルド職員のドーズをこの塔に出入りする事を許可した所、王族からも要請が有り二名を許可致しました」
デクストラの説明にシニストラが補足する。
「この国の内情には直接関与しない者なので特に問題は無いと判断致しました」
「・・・お前たち・・・」
シニストラとデクストラは勝手な判断をして怒られると思った。
「奴らの狙いは解っているのか?」
「・・・」
「我らの技術を入手したいと考えているはずです」
「それで?」
「第二王子と第二王女であり、まだ幼いので問題無いと許可しました」
「なるほど。だか、奴らの思う壺だな」
「それは一体どの様な事でしょうか、アルジ様⁉︎」
「ギルドの認識票には我等はエルフとして登録してある。誰もがエルフの魔法や技術を欲しい訳だ。しかし人族には扱えないし、お前達と子供達の縁が有る。大人達は子供を成長させてお前達と契らせようと考えた訳だな」
「「・・・」」
「人族にはエルフが長命種だと認識がある様に、人族の子供は直ぐに大人になる」
「我等があの子達の伴侶になると?」
「馬鹿な、愚か者達め」
「まぁ、そう言うな。何も知らないのだからな」
「しかし・・・」
「いずれ教えなければならんな」
「「はい・・・」」
教えるとは、シニストラとデクストラが人族と交配しても子孫を残せない事だ。
二人はその様に設計されて作られた存在である。
婚姻による勢力拡大を当たり前の事を考えた王家はエルフの血と技術を取り込めると喜んでいる様だ。
「どうしましょう、塔に住む事も許可してしまいました」
「申し訳ございません」
「構わないが、あの二人。多分相当な衝撃を受けるだろうな」
「ですが事実ですので」
「あの子達は嫌いか?」
「その様な感情はございません」
「同じく」
「まあ、それで良いけどな」
何故か二人の子供達が可哀想に思えたディバルだ。
「そんな事より、もう直ぐ研究員が来る」
「かしこまりました、何名でしょうか?」
「男女二人づつだ」
「ではどの部屋を割り振りましょうか?」
「そうだな、男女別に一部屋を二人で住まわせるか、個別に部屋を与えるかはお前たちに任せる」
「かしこまりました」
「それより謁見の間を使うぞ」
しばらくして現れたバレンティアと研究員四人だ。
謁見の間に入ると、玉座には神々しい存在の斜め前方に二人のエルフ似の者が立っていた。
バレンティアは堂々と、生まれたばかりの四人は恐る恐る周りを見渡しながらバレンティアの後を付いて歩く。
「アルジ様、ご要望の人材をお連れいしました」
「うむ。名はまだ決まって無いのだな?」
「はい」
「では左から男二人はサンダルとボルスとする。女二人はキュベルにミュールと名付けよう」
(我が名はサンダル・・・)
(ボルス・・・力強き名だ)
(私の名前はキュベル・・・)
(ミュール・・・可愛いかも)
それぞれにどの様に感じたからディバルには解らないが、怪訝な表情を見せる者は居なかった。
むしろ口角が微妙に動く四人だ。
「お前たち四人はしばらくの間、兄で有り姉で有るデクストラとシニストラから細かな指示を受けて、この塔と施設の決まり事を学んで欲しい。研究課題は事前に聞いているはずだが、追加や変更も有るだろうから対処する様に」
「「「はっ、かしこまりました」」」
☆
今後の研究魔法
○魂消滅魔法Anima ablatione
アニマ・アブラチォーネ
文字通り魂を消滅させる魔法で肉体は残る
また精神生命体などにも有効だ
○内臓脂肪除去魔法「ヤセロ」
皮下脂肪以外で腹部の内臓脂肪を一瞬で除去出来る至高の魔法
この魔法によりお腹回りの曲線が更に細くなる
○二日酔い回復魔法recuperación de la resaca
レクペラシォン・デ・ラ・ルサカ
愚か者たちに法外な価格で販売する予定だ
○擬人化魔法personificación
ペルソニフィカシオン
物体を擬人化させる為に精霊を憑依させて変化の魔法を使う。
その際に変身する型の大きさを選ぶ
大きさは極小、小、中、大、特大の五種類で二足型か四足型と男性か女性の、五種二型二性を選ぶ事が出来る。
特大は一般的より大柄な人間又は特大の動物
大は一般的な成人男性又は大型の動物
中は一般的な成人女性又は一般的な動物
小は十歳程度の子供又は小動物
極小は五歳児程度の幼年又は手のひら大の動物
精霊は土、水、火、風、暗、聖の六属性から選べ、二属性、三属性と増えるごとに必要魔素が増える。
性別は思考性であり繁殖能力は無い。
物体は無機質である事。
当たり前だが人形も可能で、更に変身させた方が生体と質感が違う。
変身させない場合もあるが好みだ。
擬人化させた後で更に魔法を付与する事も可能。
魔法陣に所定の設定と必要魔素を注ぎ、用意した依代と精霊を並べる。
精霊と発動者は擬人の大きさを選んだ後で具体的な形を想像し魔法陣を発動させる。
精霊は契約にともない、魔法発動者が死亡した時に憑依した依代を貰い受けるか、自然に戻るか選ぶ事が出来る。
私のつたない物語ですが
少しずつ書き足して行きます
週一を目処にしてます
よろしくお願いします
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