Alius fabula Pars 6 名前

「創造神様、貴方様の御名を教えてくださいませ」


「俺の名前かぁ・・・俺の名は、るて・・・」

(ヤバッ! ペンネームだって恥ずかしいし、まさか本当の名前は言えないし、何か良い名前は無いかぁ・・・異世界から来た・・・は確か・・・)


「ディ・・・ディバルシス・リバル・デオルムだ。長ければディバルとでも好きなように呼べば良い」

「滅相も御座いません。デオルム様とお呼びいたします」

「待ってくれ、デオルムとはお前たち含めての呼び名だ」

「わたくし達を含めるとおっしゃいますか?」

「そうだ。お前たちの中の1人が俺、ディバルシスだ。だからディバルで良いぞ」

「他の者はともかく、わたくしはディバルシス様とお呼びいたします」


(・・・含めるとは、もしかしてスプレムス・オリゴ・デオルムって名前にしても良いのかしら?)

(・・・)

(・・・)

見つめ合う二人はお互いに譲れない部分が有るようだった。


「・・・それから種族名はシャドーバイオスフィアとする」

「それはどのような種族でしょうか?」

「お前たちの陰から世界を静観する者だ。と言いたいが、まだこの時代は”アレ”だろう?」

「確かに大地の移動と空からの”贈り物”が、この後も続くと思われますから・・・」



2人が確認しながら話を進め、テネブリスとアルブマに二人のメルヴィを呼ぶ事にした。

スプレムスから創造神の御名と種族名が説明され、今はこの場に居る者達だけの秘密とされた。

そして新たな創生をする為にも、創造神の依代を新たに作り早くエルヴィーノを元に戻すと指示が出たのでアルブマの眷属が管理する生体研究室に向かう事になった。

勿論、他の眷属に説明する為にも急がせる必要があったからだ。



場所を移すため歩いて移動する途中、五人から街の事を聞いた。



龍国での1日は、下界の自転と龍国の自転周期を考慮して計算ですると656時間だ。

つまり下界では27日と8時間弱が龍国の1日に相当する。

だから下界を監視するにあたり約12時間毎に昼の部と夜の部に分かれている。

同期するのは下界の"とある国”だ。


太陽光は魔導技術により調整されており、地表に擬装してある天窓からの心地よい光が降り注ぐ。

太陽光が届か無い場合には魔導機械が龍工の明かりを国中に照らしている。

基準は下界に合わせるが、1日が非常に長いのだ。

下界の自転周期は1日23時間56分だ。


因みに、龍国の自転と公転は下界と同じ周期の為、下界からは常に側面しか見えない。

これは自らが這い出た穴を下界から見えないようにする為にスプレムスが細工をしたわけだが、今では擬装されている。


(ふむ。だいたい設定通りだな・・・)


初めてディバルの視界に入った世界は白と緑に支配されていた。

建物と言う建物に道も全てが白かった。

そして新緑に芽吹く樹々が多く、川が流れている。

花壇には様々な花が咲き乱れて歩道を歩く人通りも多く、広い大通りには宙に浮く乗り物に乗って移動する人達も目につく。


ディバルは大まかな地域の説明を聞いた。

中心地は大広間と呼べない程の巨大な空間とスプレムスの居住地だ。

その中心には巨大な柱が存在し、大広間以降は丘陵になっていて緩やかな傾斜が付いている。

これは中心地から魔法水が流れる仕組みだからだ。

天まで伸びる柱は外側に行くほど細く本数が多くなる。

街は非常に大きく街並みも遠くが霞んで見えていた。

大広間の中もとてつもなく広いが、外から見ると圧巻だ。

それは、山々が連なる連峰のような巨大さだ。

都市は巨大で聳え立つ大広間の向こうにも同じ広さの街並みが続くと言う。


そして放射状に五等分された属性別の地域に、円となる幹線道が中心地から離れて幾つか存在し、種族や研究項目によって細分化され管理されていると言う。

都市を一周する円環の大通りには飲食店も多く大勢の人達で賑わっている。


この世界で唯一生存が許されている昆虫は蜜蜂だ。

龍国では養蜂が盛んで、唯一の甘味料であり数多くの甘味が存在する。



龍国での生活は研究成果を発表する事だ。

全ての国民は何かしらの研究にたずさわっている。

他者が開発した研究に自らの研究に取り入れて発展させる事に可能性の面白さを見出している。

また、発展開発された研究課題には全ての開発研究者の名前が連なる事になり、それが名誉になる。

だがそれは、最終的にこの国の神々に認められた研究だけだ。

そして1番の名誉は、最初の開発者だ。

例え思いつきでも、他者の発想と研究で思わぬ発見に至る場合もある。


住民は神々の眷属を中心とした子孫と、下界で評価された研究者と異能力者だ。

そして様々な交配が行われて生物実験の研究も盛んだ。


そんな龍国内の魔導工学と魔導科学に化学技術は下界のソレとは次元の違う高みに至っている。




龍国の技術

それは地上に文明が栄える以前から存在し、下界の文明を取り込み更なる研究を積み重ね現在進行形で構築途中の技術である。

原子から生物学、物理学、魔法工学、魔導科学、錬金学、化学技術、宇宙学や精神的な形の無いモノに対しての学問に生物が活動するにおけるあらゆる研究と多岐に渡る。

研究開発は常に高みを目指し下界との隔たりはひらく一方だった。

ゴーレムとホムンクルスを科学で合成した人造、いや龍造の個体が下僕のように使われるほどだ。



理由が明確なので協力的な四人はスプレムスと共にディバルをとある施設に連れて行った。

そこは魔導科学とゴーレムの研究所だ。

目的は今の依代を”本人”に返す為に、新たな依代はアルブマの研究員が主体で開発し、テネブリスと共同で極秘の機能が取り入れられていく。


そこでディバルは要望を出した。

元素から見直した素材を使い、成長する金属だが生命体として魔素の蓄積も有り魔法も使え、様々な能力を保有する体を作ってくれと頼んだ。


ここでは龍国の叡智を集めた最新魔導技術を使い、龍人の体内臓器と同等以上の機能を持たせた部位を、液体金属と超硬質金属に軟性魔導金属と大量の魔素を複雑な属性魔法を施した魔法陣で構成し、スプレムスの体液を触媒にした細胞から始まり骨格と体液、脳漿に眼球、心臓に血管、口内、皮膚、頭髪に至るまで生体工学を駆使して、ディバルの記憶にあるアクチュエータの様な機能を持つマイクロサイズの金属と融合させた肉体を魔法処理されて要望通りに作り上げられていた。




そこは記憶にある映画に出てくるような風景で、明らかに前世とは比較しようがない高度な文明が目の前にあった。

無数の研究員風の人たちが空中に浮かぶ画面を見ながら、言葉と目線に指先を巧みに使いこなして操作している様に見えた。

しかも入力作業はキーボードを使っていない。

文字が勝手に浮き上がっている所を見ているとアルブマが教えてくれた。

「あれは思考を読み取り自動で入力される機能です」

その事に感心し、周りの研究者たちも見てみた。


すると、自分の依代となる肉体を考案している研究者の空間画面を見ながら説明を聞くとテロメアの長さが異常だった。

別の研究者に聞いた画面の説明は”螺旋が三重”だった。

記憶にある二重ではなく、正三角形でうねる様に螺旋になっている。

(マジで人間辞める事になったか・・・)

既に凡人の理解力を超え、相槌で誤魔化していたディバルだ。


仕上げは、戦闘技術と最新魔法にスプレムスの記憶と下界の歴史を脳漿の代わりに存在する魔導脳への記録させたのだ。



そして肝心の股間だが、ツルペッタンだ。

何も無いのだが女性では無い。

排泄物を出す穴も無い。

必要無いのだ。

食事も必要としないが、それは寂しいと言うと飲食しても体内で全て無にする臓器も有り、魔法で排出する事も出来るらしい。

そして”任意の魔法”で特製の”男性自身”を出現させる事を可能にした。

参考までに聞くと、遺伝子上どの種族とも子孫は作れないらしい。

これはスプレムスと2人だけで設定する事になったので保留にした。




また、スプレムスの要望で下界に降臨する為に世話係をさせる精霊王の憑依体を用意した。


本来テネブリスがディバル用に用意した依代を、下界から呼び戻した南の精霊王ドラドに憑依させてメリディ・スクリーバと命名した。

支援型魔導機械人形スクリーバは執事の役目をこなし、様々な精霊魔法に支援魔法と攻撃魔法が使える。

流暢に話す事が出来る金髪碧眼で、エルフの男性に似せて作られた体だ。

大神であるスプレムスから大役を仰せつかり、ディバルを敬愛している様な眼で見られた。

身長は1.9m。



同じく下界から呼び戻した北の精霊王アルジェンティを憑依させてセプタン・ウルサと命名する。

アルジェンティに用意されたのは戦闘型魔導機械人形ウルサで獣人に似せた巨漢銀熊男だ。

精霊魔法に物理防御と魔法防御に、自重制御調節魔法と身体強化魔法が付与され、ある程度の自動治癒能力がある。

言葉は重低音で腹の底に響く大きな声だ。

何故か飛行魔法も使える設定だ。

ディバルの命令に絶対遵守じゅんしゅを大神から仰せつかる。

身長は2.2m。



三体目は個体名マリンキファと言い、”魔工知能搭載型”の偵察用昆虫型魔導機械だ。

認識阻害と集音機能に録画機能を使い、必要な情報を集めて念話通信を可能としている。

物理攻撃無効魔法が常時発動しているので、踏みつぶされても問題無い。


背中に星形の印があって基本的にウルサを巣に設定してあり収納可能だ。

大きさは5mmしかないが一万体いる。

部隊長が十体存在し3cmあり、一体が千体を管理している。

そして一体だけ母神マーテルが存在し大きさは5cmだ

マーテルとは念話が可能である。


しかし個体が小さ過ぎる為に念話可能範囲が限られており、それぞれの機体が中継となりマーテルからディバルと二人の世話係に念話通信可能だ。

偵察用なので攻撃は出来ない為に街は万単位の配置となるが移動に時間がかかる。


三体は主人から送られる魔素を動力源とし飲食は必要無いが取り込む事は可能だ。

その場合は体内の保管場所から任意で外に排出される。



石や金属を使ったゴーレムとは根本的に内部構造も違い、憑依や魔工知能で自律思考出来る事が最大の特徴だ。

一見してエルフや獣人と昆虫にそっくりで見分けがつかないほどよく似ており質感や体温も同様だ。



更に影の付き人として龍造人間ホムンクルスを二体用意させた。

名を女性型のシニストラと男性型のデクストラと命名した。

ディバルは二人を忍者的な役割もさせる為に”それなりの身体機能と魔法をプリセット”するように依頼した。

この二人には性器は付けたが繁殖は出来ない様に設定してある。


最後に考案していた魔法の作成を依頼して終わった。






魔法?

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