第6話 交渉2
勇者と魔王は決戦時の必殺剣を放った。
聖女と魔女は自身が持つ攻撃魔法を放った。
しかし、全ての攻撃が掻き消されたのを目の当たりにした四人だった。
「「うそっ・・・」」
「僕らの攻撃は無駄なのか」
「やはり同じだったか」
「因みに、まだ三倍になってないからね」
「だが、三倍になった所で結果は同じ事だ」
ディバルが
「蟻も大群で貴方達を責めれば、万に一つ傷を付ける可能性も有るでしょうが、私めとアルジ様の力量差はそれ以上の開きがございます。例えば帝国の人間が全て私めとなったとして、全員で戦ってもアルジ様に一筋の傷を付ける事は出来ますまい」
「「「「・・・・」」」」
「まぁ私めが不可能なのに、貴方達がアルジ様に傷を付けるなど絶対にありえません。精々不愉快な気分を与える程度になるかもしれませんが、そのような可能性も有りません。何故ならば、私めを含め三体の従者がそれらを阻止しますから」
「貴方と同じ存在が後2人居るのですか!?」
「そうですね。後程紹介しますので、他に質問は有りますか?」
意気消沈する四人を見て他の質問を問いただした。
「あのぉ本物の魔王に勇者に聖女に会えますか?」
「それは・・・」
魔女の質問にスクリーバが答えられず、ディバルの顔を見た。
「そうだなぁ・・・今は会う必要が無いから、それを目標にしたらどうだ?」
「「「「・・・」」」」
「他の転生者に会う事は可能ですか?」
「可能だが、今は必要が無いので他の転生者情報は教えない」
勇者の質問に答えるが否定された。
会わせないと同じ意味と解釈した四人だ。
「この後、魔王様が居なくなったら魔王城と領土の管理を誰がするのですか?」
「私たち勇者と聖女が居なくなると帝国にはどのように誰が説明するの?」
魔女と聖女が同時に同様の質問をした。
「どちらも適任者に任せるので心配の必要は無い」
「「適任者・・・」」
「どのような命令が下されるのか事前に知る事は可能ですか?」
スクリーバはディバルの顔を見た。
「そんな事、教えたら面白くないだろぉ?」
((((面白くないって・・・))))
勇者の質問には適当に答えたディバルだった。
「最後に。どうして我らなのだ?」
魔王からの質問だ。
「楽しそうだからだよ」
「そんなぁ」
「楽しいからって・・・」
ディバルの答えに、何故か愕然とする勇者にイラ立つ聖女だ。
「静かに。アルジ様が確認されたい事がある」
「まぁ見ていろ」
そう言うとディバルは”ヘンシン”と言った。
すると、どうだろう。
ディバルとスクリーバの髪と目の色が漆黒に変わった。
「俺たちも”ニホンジン”みたいだろ?」
「「「「・・・」」」」
「なんか変!」
「違和感がある」
色が変わっただけで顔の骨格が”ガイジン風”だからだ。
だが当の勇者たちも前世の容姿とは全く違う。
「そぉかぁ? 見慣れないからだろう」
そう言うと、再度ヘンシンと唱えた。
するとどうだろう。
勇者と聖女に角が生え、黒髪赤目に変わっていた。
「おおっ我らと同じだぞ!!」
「やめて!!」
「それは止めて欲しいな魔王・・・」
間髪入れずに全否定した聖女と、やんわりと否定した勇者だった。
再度魔法を唱えたディバルだ。
するとどうだろう、魔王と魔女の角は消えて金髪碧眼となった。
「「えええぇぇぇぇっ!!」」
驚く勇者と聖女に、キョトンとする魔王と魔女だ。
スクリーバは2人に手鏡を差し出した。
「おぉぉっこれはっ」
「なんか良い感じじゃない?」
2人には高評価だった。
「元に戻してよ」
即座に聖女から申し出があった。
「貴女たちは見た目の偏見が有りすぎなので暫くはその姿で過ごしてください」
スクリーバの見解だ。
「どうしてよ・・・」
納得のいかない聖女だ。
「この魔法は姿を変える便利な魔法だが、いずれお前たちにも扱えるようにする予定だ」
「どうして今では無いのか?」
「お前たちの偏見を見直すためだ。あ、魔王達は現在の人族を再確認するためだ。勇者・・・特に聖女は考えを改める様に、当分はその姿のままだ」
「えええっ!! 嫌よぉぉ!!」
「なかなか似合っているぞ」
「とっても魅力的よ」
「・・・」
魔王と魔女に褒められて心が揺らぐ、チョロ聖女だ。
「そうだよ、黒髪も素敵だよ」
「そ、そうかしら・・・」
駄目押しは勇者だった。
「では、我がアルジ様の眷属となる心構えは出来たか?」
「「「・・・」」」
「一応伝えておくがお前たちの合意を得ずとも、強制的に眷属にすることは可能だ。しかし同意を得た方が眷属になった時の能力向上値が高いので、あえて確認をしている。では返答せよ」
スクリーバから一方的に告げられたが、否定的な気持ちよりも、賛同し期待した方が種族変換した際に能力値が若干上がるらしい。
「・・・ちょっと待って。もう少しだけ時間を頂戴」
聖女からの申し出だ。
☆
踏ん切りがつかない藤沢春恋だ。
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