第3話 エピローグ マウダ

 会場はものすごい喧騒につつまれた。


「現在、ビデオにて確認を行っております」


 なんども会場にアナウンスするMC豊海。


 集合する審判達! ざらつく観客!


「只今、マウダ選手が放ったフリースローのボールが消えた件で確認をおこなっております……。」


 いったい何が起こったんだ?

 バスケットボールのホームアリーナMCを始めてから六年……。

 こんなことは初めてだ!


 ボールが消えた。


 何度も映像で検証しているけど、マウダ選手がしゃがみ込んでフリースローの体制に入った時まではボールは映っている。


「なんでしょう? ここの部分だけ少し映像に歪みがありますね?」


「あっ! 本当だ。マウダ選手が一瞬だけ消えてませんか?」


「うーん。分かりませんね。カメラの故障じゃないですかね?」


 審判、オフィシャル、そして私、MC豊海でなんども映像を確認する。


 だが結局このボールが消えた件は、まったく分からずであった。


 これが後にも先にもプロバスケットリーグでボールが消えた事件である。


 そして一時間程度の中断を挟んで、観客によるハーフコートシュートチャレンジのイベントで時間を使ってから試合は再開された。


 マウダ選手はフリースロー二本を打ち直し。


 みごとにゴールを決めたのだった。


 そして横濱ビコルスはアルバイト東京に初めての勝利をあげる。


 だがこの試合で起こった事件が一つでは無かった。


 マウダ選手の放ったシュートによりゴールボードが破壊されるという。

 驚異のパワーショットが炸裂したのだから……。


 そして数年後……。


 横濱ビコルスは日本一を五度も連続達成するという最強チームになった。

 もちろんその大躍進にはマウダ選手がいた。

 数多くのボードを破壊し、相手チームのゴール下からでも狙える強烈なシュート、無尽蔵のスタミナ、競り負けない強い体幹を武器にマウダはビコルスを優勝に導く、NBAからのオファーを受けアメリカへ旅だった。

 ときおり彼が呟く「ゴットマウダ」と「ゴッドマウダ!メテオズバッと」そして「地球は魔力が無いから体内のマナの回復に時間がかかる」


 彼の若干、中二病ともとれる呟きもマウダのチャームポイントとして人気となった。


 そしてNBAではマウダ対策の防弾ガラスを何枚にも重ねたマウダボードが生まれたのだった。











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