第175話 うん、するの。
「―で? 誰? 覚悟出来た? さぁ、名を名乗れ」
「いや、それが特に誰とは」
「ふっ。私の幻の右に臆したか、安心してちょっとくらいは何かしたげるから」
「そう言われても予定だから」
「予定? 誰とどうなる予定よ。ここまで言っといて言いなさい」
「いや、ホントにいないんだけど、ほら何ていうか…停滞感出た時に新キャラ投入的な?」
「ラブコメじゃあるまいし、候補いるんでしょ? なんで隠すかな、まさか本命?」
「いや、ホントに」
「つまりはなに、飽きたときに誰かもう一人くらい行っとく? みたいな?」
「あっ、うん。近い」
「素直だからって褒められると思うなよ、アレか? 後輩枠だろこれって」
「あっ、なるほど年下な! アリだな」
「まぁ、いいわ。許したげる、とりあえず地雷回避だし」
「地雷って、やっぱし―」
「亮ちゃん、どっちかにしょうか。胸触るか、地雷の話するか。私の胸触りながら地雷なひと想像されてたら流石にきついし……って、おい! 話しないの? この流れで私なの!?」
「そらそうだろ?」
「その決めつけうれしいけども、私の愚痴を聞くぐらいの寛容さ!!」
「じゃあ、とりあえずパジャマ脱ごうか」
「えっ、どうとりあえずなの? 何私ってヌードなモデルなの? 事務所通してほしいんだけど?」
「じゃあ、体だけでいいや、下全部脱ごうか」
「いきなりの下全部とか鬼畜か! あと冗談よね? それから体だけでいいやって、今後のふたりの関係不安なんでけど。それより家族寝てないか心配じゃないの?」
「寝たの確認したからキスしてきたんだろ、違う?」
「まぁ、ね。わかった電気消すならパジャマはいいや、パンツとキャミは着てるけど、そのしばらくは」そう言って咲乃はそそくさと部屋の灯りを消した。暗くなった部屋。ベットに座った亮介の前に立ってしゃがみながら耳元で(脱がせてくれないの?)そう呟く。
「意外と紳士なの?」
「まぁな。はぐらかして深読みされてもいいことないし。望さんの話だろ地雷って。なに? バイト中にオレのこと根掘り葉掘り聞かれたとか?」
「エスパーか? なんでわかる?」
「流石に日曜の昼にバイト行かないとかないだろ? それで」
「お昼からわかってたわけか」
「珍しく機嫌悪かったからな、おまえ」
「亮ちゃん『おまえ』ってもう一回言って」
「なに、咲乃。おまえ、おまえって呼ばれたいの?」
「どうしょ。めっちゃいいわ、惚れそう」
「まだ惚れてないとか」
「亮ちゃん、惚れてたわ。忘れてただけ。あのね、地雷の話は置いといて」
「置いとくの、なんでよ」
「いいじゃない。あとで蒸し返すから。それよりシチュエーションっていうか、設定あるじゃない、なんでも。でね、脱がせたパンツをね?」
「なにそれ、いきなりのそっちするの?」
「うん、するの」咲乃は笑う。
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