第42話 確信。

「ど―も!はじめまして、私『死の天使エンジェル・オブ・デス』ですぅ!お元気ですか『』?にゃわっ!」


 どうにもオレを苛立たせないと気が済まないらしいなぁ。


 そう、作風が似ている。まぁ、相手が寄せてきているから似ていて当たり前。


 オレに対して『パクリ』疑惑がないのは公開履歴がある。運営側が管理しているので履歴操作は出来ない。


 履歴からは明らかにオレが先に公開していることがわかる。


 じゃあ『死天してん』にパクリ疑惑が出てもいいのでは。


 そう思うかも知れないが、先に言った圧倒的な『質』『量』そして信者たちの声で打ち消されている。


 その信者たちがオレを蔑む隠語として『下位互換』そうオレを呼ぶ。


 言葉に説明がいるだろうか。簡単に言えば似てるけど『格下よね』こんな感じだ。


 佐々木咲乃はわば『蔑称べっしょう』でオレを呼んだわけだ。


 なんだろ、清々しいほど傷付いた。びっくりした。


 ホントにびっくりした。こんなに不意に傷付くことあるんだ。感心した。


 流石天才。こういう言い方すればオレが傷付いたり、苦しんだり戸惑ったりすること計算済みなんだなぁ。


 そして呑気なオレも理解した。


 佐々木咲乃が「死の天使エンジェル・オブ・デス」だと。


 そうか『上げて下げたんだ』バイトで仲良くして親密になって、次バイトで会うの楽しみだなぁ、そんな気分にさせておいて、急降下。


 きっとザマぁな気分なんだろうな。でも何がそんなにお前を突き動かしているんだろう。


 オレは『死天してん』に対してのコメントは一切してない。


 変な場外乱闘はゴメンだからだ。


「あらあらあら、わからないかなぁ、残念だなぁ、残念な思考回路だなぁ。」


 佐々木咲乃が口を開くたびに、オレの心の何処かのキズ口も開くようだ。


 昼間と同じ声、同じ口ぶりで罵倒されている。口調は優しく言い聞かせるようには聞こえる。


「なにが残念なんだ」


 ホントに残念だ。


 この程度しか言い返せない。出来たら『なんちゃって、てへっ!』みたいなオレの知っでる佐々木に戻ってほしい。


 でも、無理のようだ。声は段々と凄みを増す。


「私ね親切だから教えてあげてるのよ。ずっと前から教えてあげないとってこと。ってこと」


「だってさぁ、私中3の時に君の気を引くための目的ではじめたのよ、小説。いつか気付いてくれて『もしかして、佐々木?』みたいな?」


「ある日薬師寺と君話してるの聞いちゃった『趣味じゃない、本気でやってんだよな。小説』って。びっくりしたの。それでね教えてあげないとって」


、きゃわっ!』


 ビデオトークの佐々木咲乃は真顔で『なんでそんなことわかんないかな』みたいな顔をしてオレを見た。


 クリクリした猫目、その目でそんな言葉を吐かないで欲しかった。





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