第43話 後ろ姿。

「ごめんね、歯にきぬ着せぬ物言いで。それだけ亮ちゃんのことが好きなんだよ?だってさぁ大好きな人の大切な時間『』にしてほしくなくって」


「それでね。私亮ちゃんのこと好きだし面倒見いいでしょ?『義務感?』そんなのが生まれたのよ、教えてあげないとの。やめさせてあげないとって」


「大事なことがからもう1回言う


ね、。あのねもしかしたらって思うから付け加えるけど『』からって武器とかなんないよ?」


 痛覚が麻痺してきた。炎上ってこんな気分なのかな。


 オレって佐々木の踏んじゃいけない地雷とか踏んたのかな?


 じゃないと、ここまで言わんだろ。


 流石にオレも傷付いてばかりいられない。段々キレそうになってきた。


 その矢先――


「でも残念。本人が気づく前にには笑えるわ―」


「まわり?」


「うわっ、サイテイ。あぁ、浮かばれないわ、あの


 探偵…


 探偵って柚原ゆずはら詩音しおんがバイト初日終わりに違うファミレスでへばってた時確かに『探偵さ』と。


 柚原が浮かばれない?


 今の流れで柚原詩音が関係あるのか?


「浮かばれないし、救えないわね。ヒント、どうして大勢の生徒が注目する『舞台』をわざわざ作ってまで大好きな『君』を振ったのでしょうね?」


 今更いたずらっぽく言う神経を疑いたくなる。


 いや、今はそんなことはいい。柚原が『大勢が注目する舞台』…校内放送のインタビューを受けたって言ってたことか。


『大好きな君』って、どういうことだ?飽きたから捨てんじゃないのか?


 オレの思い込みなのか?


柚原詩音あの娘の筋書きとか演技がよかったのか、君が書き手として三流なのか。こうは思わないかなぁ――」


『亮ちゃんとは別れたから、亮ちゃんの小説邪魔しないでって――亮ちゃんもうフリーなんだからもう攻撃しないであげてって、ほら考えてみて、よ?」


「それが私へのメッセージ。あの娘スゴいわよ、私の小説のメッセージ解読して私に行き着いたんだから、あながちかもよ?』


「私に辿り着いたって―もしかして」


「流石に『おにぶ』の亮ちゃんにもわかる?そうよ、私が薬師寺に『付きまとい』で困ってるってのことなんだよ?」


 言っている意味はわかった。だけどね、敢えて言う。何言ってるかわからない。


「かわいそうな詩音ちゃん。大好きなカレシの夢を邪魔させないために泣く泣く別れたのに、血の涙を流す思いで別れたのにね――ワタシ、てへっ」


「だってね聞いてよ。私はやめさせたいの君に小説を『時間の無駄遣い』を。なのにあの娘は『時間の無駄遣い』応援するのよ?真逆過ぎて笑えるわ」


 オレには佐々木の言葉は届かない。届いたのは今日オレの目の前で転んだ詩音しおんの後ろ姿と、


とうくんのバカ!』


 そう言って走り去った詩音の声と残したラフ画だった。







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