第41話 『死の天使』
「誰に聞いたんだ――」
我ながら間抜けなセリフ。聞く相手なんかいない。京子や
聞いたんじゃない、知ってたんだ。
何よりこのふたりは口が硬い。口止めしてるわけじゃないけど、わざわざ話す内容じゃない。
そもそも何の意図があるんだ、佐々木咲乃に。何で知っていたんだ。
「まずは混乱させて注目を引く。序盤に必要な要素よね、亮ちゃん。冬ノ
「さっき時系列の説明したよね、聞いてた?中3のはじめに薬師寺に頼んだって、仲取り持ってて」
「ちょっと説明が難しいなぁ。まぁいいや説明不要展開しょうか。『グチッター』フォローするから開いて全部わかるわ――ふふふっ」
オレは1度ビデオトークの画面を閉じて『グチッター』を開いた。
SNSアプリ、主に宣伝とか同じ趣味の仲間と繋がるために利用されている。そんなアプリだ。
『――さんにフォローされました』
見慣れた文章、見慣れた名前……!?
「
「
「
その『
オレは確認のため『
フォロー『1』―冬ノ
この事が何を意味するか。
『佐々木咲乃』が謎の執筆者「
しかも唯一のフォローがオレ『冬ノ
『グチッター』の小説界隈で話題は誰が最初に『
じゃあ、オレは名誉なのかと言えばまるで違う。「
理由はわからない。しかも表向きではなくそれとなく確実に的確に嫌がらせをしてきた存在。
オレが書いているジャンルがあるとする。例えばラブコメ。同じジャンル同じシチュエーションで翌日には連載をスタートさせる。
もちろんこれは問題行為でない。ただやられている方からしたらたまったもんじゃない。
同じジャンルおなじシチュエーション、始まりの展開がおなじ。違うのはクオリティ。質と量。比較するのもおこがましいほどの歴然とした差を見せつけられる。
才能と努力の差。そう才能だけではない努力の差が明確に見て取れる。
オレが別に手を抜いてる訳ではないが、それでも埋めがたい差がそこには存在している。
天才であり努力を怠らないのが「
なぜか、オレはその「
もともと多少『定評』のあったラブコメ、自分でいうのはおこがましいが。
辛うじてPVを維持できているものの異世界は散々な状態だ。
何1つ問題行為でない。例えばオレが事前告知している同じ時間に更新をぶつけてきたり、更新時間を変更しても変更しても、合わせてきたりしたとしても。
別に何1つ、問題はない。自由だ。ただ――――
死ぬほど鬱陶しい。
オレにとってそんな存在の「
この2日バイトで一緒だった佐々木咲乃とは真逆の存在。オレは佐々木咲乃の横顔を思い出していた。
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