第26話 ミセカノ。

「すごいよね、ストーカーだね」

 只今、京子とビデオトーク中。


 ちゃんとしたストーカーってなんだ?伝わるんだけども。


 柚原ゆずはら詩音しおんが、オレたちのバイト上がりにファミレスに現れたことについてだ。


 今回のバイトのことで京子に誤解を与えるわけにはいかない。


 前もって『ナッシュビルでバイトをする』理由と『彼氏彼女設定』について説明した。


 オレより先に京順けいじゅんが京子にひたすら謝ってたので誤解はなく、むしろ、ネタ集め的に話を聞きたがる。


 そして今は『柚原ゆずはら詩音しおん』が突如現れた『くだりだ』詩音のことも隠さないようにしないと。


 この間『こっそり、より戻してんちゃうやろな?』そう詰め寄られた経緯もある。


「柚原さんのことはいいや。想像つくし『ミセカノ』はどうなのかなぁ、と?」


「ミセカノ?」

。ミセカノ。まさかそれ以上ちゃうよな?」


 なぜにいきなりの関西弁!?


 京子は怒ったり、感情が高ぶると関西弁が出る。


 信用されてないのかなぁ。


「まぁ、今日のところはよしとしょう。明日もバイトてしょ。しかも中間テスト前、勉強もね」


 そうだ。明日もなんだ、今日1日でクタクタなのに明日もだ。


 しかもテスト勉強もテスト期間中の小説の書き貯めも不十分。


「テスト前だからもう切る?それとも―?」


 それとも―が気になる。何だろう、まだ『ミセカノ』に付いてなんかあんのかな?


「どうかした?」


「いや、実は相談がね。プロットについて――なんだけど」


 プロットとは小説を書く上での『設計図』的な役割を果たすもの。書き方や方法は人それぞれだ。


 パソコンやスマホに入力するやり方もあれば、紙やノートにまとることもある。


 個性的なのは壁に『捜査状況』みたいに貼り付けてする人もいるらしい。


 オレの場合は断然ノート派だ。理由としてはサイズ感と後で見直すときに自分的には馴染む。


 思いついたまま書き込めるので、スマホ入力よりダイレクトだし後で見直すとき大きいぶん見やすい。


 オレの場合はノートプラス付箋。アイデアとか、ネタは大きめの付箋に書いておいて、内容に合うところに貼り直して分類するのに便利だ。


 オレのやり方は基本箇条書き。決めのセリフとかある場合だけセリフを書く。基本は書かない。話の流れだけを書く。


 これも特にルールがあるわけではなく、やって行くうちに自分のスタイルは固まる。


『グチッター』でプロットのやり方の情報交換するが大体こんな感じで答えていた。


 おっと、ついつい思考暴走してしまった。京子の相談『プロット』についてなにも聞いてなかった。


「ところでプロットの何に相談?」


「あのね、その――プロットって、必要かな?」


「あっ――」


 そこからか。京子は『てへっ』みたいな顔してる。


 言葉にしてないけど京子の言葉には『いらないよね、プロット』な空気が漂う。


 これは基本的なふたりの考え方の相違からになる。だから話は長くなるなぁ。


 っていうか。80話を越える話プロットなしで書いたんだなぁ。なんかすごい。


 プロットの本来の役割として『当初』予定していた目的地に話が『ズレ』てないな確かめる意味が多い。


 プロットなしということは目的地なし、もしくは曖昧なまま書き進めている場合がある。


 言い方が極端だけど『ノリ』で書いている、なんてことになりかねない。


 しかし、それで問題なく80話越えの話書いた京子に――


 なんて説明しょうか。


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