第17話 今そこにある修羅場。

 気まずいと言うか、何なんだろ。気まずさよりも疑問。


 なぜ『第2ラウンド』しょうとしてるんだ?


 朝はっきりさせなかったかなぁ。咄嗟に離した京子の手。なんか、こっちの方な気まずい。


「えっと、なにか用?」


 真っ当な質問だ。とつって来たんだ、何か目的とか理由とか狙いとかそんなのがあるだろ。


「何と言われましても―」


 モジモジしている。


 まさかのノープランでのとつには反応に困る。


 正直『どうも、ありがとうごさいました』みたいに『はけて』くれないかなぁ。くれないだろなぁ。


「とりあえず、座ります」


 いや、おかしい。


 オレが『立ってないで、座れば』的な会話あって座るよなぁ。言わないけど。


 だがしかし、このベンチ。


 ふたりでは広く3人では狭い。そんなデザインだ。なによりで座る気だ?


「とりあえず、あなた。1度立ってくださいな」


「えっ、私?」


 京子はお人よし。だからついつい立ってしまった。

 そこに『とん』と座る。オレの隣に。


「これでよし!」


 全然よくない。当然、というか反射的にオレは立ち上がった。


「あれ?照れてますか?」


 何なんだろ、オレは京子と顔を見合わす。京子の頭の上に『?』が付いてた。


 ついでに言うとオレには軽い殺意が芽生えた。



「仕方ないですね、ここは妥協しましょう。じゃあ、亮介さま、わたし、そこの人の順で座りましょう」


「北町です」


 京子は律儀に挨拶する、いや別に挨拶してないか。


「あのなんで私と亮介のが座るの?」


「だって、わたしカノジョだし」


 ちょっと何言ってるかマジでわからない。おっと、オレ京子に腕引っ張られて屋上の端っこに。


「ちょっと、亮介。私の知らんトコで戻したりしてへんやろなぁ」


 ジト目、関西弁。本気モード。オレはぷるぷる首を振る『ホンマやろな』念押しされる。


 当の詩音しおんはベンチに座ったまま足を『ぷらんぷらん』させている。


 なぜこれだけの修羅場を作っておきながら呑気なんだ?


 京子は腕まくりして詩音の座るのベンチに向かう、あれ止まってそのまま逆再生のように戻ってきた。


「どうしたの?」

「いや、今のわたしってさ『』に入ってない?テンプレってない!?」


「あ―っ確かに『テンプレってる』!」


「ねぇねぇ、亮ちゃん。メモっていい?忘れないうちにさ。中々このパターン浮かばないよ」


「ネタ浮かんだらメモだよ!」


「だよねぇ」


「あっ、でもでも。この後どう発展するの、どっちに膨らまそう?」


「どっちって?」


「だからね、悪役令嬢が回避しょうとするルートとやっぱ正ヒロインがさ、いじめられ――」


「どうしたの?京ちゃん?」


「あれ?私って無意識で悪役側なんだけどぉ」


「ホントだ――」


『小説書き』なふたりでは修羅場まではたどり着かない件。


 呼び方も、背伸びはやめてお互い『ちゃん付け』に落ち着いたのだった。


!』


 ダジャレかよ!























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