第3話 返してちょんまげ。
北町京子は地味系女子。
見た目も声のトーンも、そして板についたジト目も。
しかしブサイクかと言えばそうじゃない。
こざっぱりしてるし、体型も詩音の胸が規格外なだけで、普通の体型でスレンダーと言うには胸はある方だ。
そして普通の身長。地味系と言ってもメガネ属性でもない。
そう、これといって特徴がない。
特徴はオレのスマホを返さないくらいしかない。
「えっ、うそ分刻みでPV増えるのはじめてみた」
返す気ないのね。オレからしたら変な操作して「退会」にならないかヒヤヒヤもんなんだけどな。
「北町そろそろ返してくんない?見たいなら自分のスマホから見れるだろ?」
「無理、この画面はユーザー本人じゃないと…うわっ」
「どうかした?」
北町がへんな声出すから焦る。変なもんアップしてないだろな。
「フォロー入ったよ、今」
「なんだ、焦るだろ」
「わたしのスマホ貸したげるから、もうちょっと貸して」
北町は自分のスマホのロックを解除して渡す。そして隣に座った。
渡されたスマホの画面は『カキコム』のユーザーページ。つまりはマイページに繋がっていた。
「北町も『カキコム』やってんの?」
使い慣れたいつもの画面。いいのかなぁ、見ても。マイページは他の人の目に触れない情報が山のようにある。
プライバシーの固まりだ。
グラフがありそこにはデイリーの情報や週や月のアクセス数がわかる。
何話公開してるとか下書きとして何話もってるとか、とにかくいろいろわかるんだが…
マウントを取りたいわけじゃないが、今日のPV『8』だ。
もう夕方で、あと6時間後には日付が変わる。
この時間でこの数字。今日は公開してないのかな?
いやしてるわ。
してた。このままじゃ『PV上がらない』ストック投入しないと…書き貯めたストックがない?
オレはちらりと北町を見た。そしてもう1度確認。1話だけ公開したばかりならこの数字も…
連載82話…結構ガッツリ公開してるな。
まぁ、書きたいもの書いてPV気にしない、PVなんてどうでもいい。そんな人も多い。
「私のPV上げるのどうしたらいいかなぁ」
あっ、PV上げたい派なんだ。そうか、そうなのか。
口には出さないけど、渡されたスマホのマイページからそれとなく見える問題点ないか、見てみた。
いつも自分がしている注意点。
ん?すごい文字数だけど1話何文字書いてんだろ…5千文字数!?
あと1話から2話のPVががっんと減ってる。
1話で読むのに疲れてしまったのかも知れない。
北町は2台のスマホを並べて唸り声を上げながら考え込んでる。
ん…スマホ返して欲しい。書く時間なくなるよ…
北町の腕組みを見ながら願う。
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