第2話 拉致られてファミレス。

 夕方のファミレスは意外とのんびりムードだ。


 寝てしまいそうになるが状況が許さない。


 なぜなら目のには黒髪セミロングの少女がホットコーヒーを片手にジト目で睨んでる。


 違うわ、見つめられてんだ。忘れてたよ、オレ末っ子愛されキャラなんだ。


「あのねぇ、冬坂とうさかくん。わたし怒ってんねんけど」


 地味系女子は『ジト目』と『関西弁』でキャラ付けしてくる。キャラじゃないか。


「何に怒ってるかわからへん」


 あっ、関西弁伝染った。


「冬坂くん、いま関西弁バカにしたよね」


 ジト目に腕組み。この属性はなかなか『よいぞ』褒めてつかわす。


「ごめん、なんか伝染ったみたい」


「そう?ならいいけど」


 地味系女子はあっさり許してくれた。あれ許してくれたけど、まだ怒ってるか、なんでだ?


「あの時下着。見えたとしてだよ。言語化する必要ないよね?言語化しちゃうからファミレスまで来たのよ、わかる?」


「言語化って、何指してるかわかる?」


「黒いぱんつ?」


「なんでまた言うねんな」


 油断すると、いや怒ると関西弁になるらしい属性。いや案件か?


「何を指してるかって言うから。答えたほうがいいかなぁ、と」


「いくないね、全然」


『いくない』ってなんだ?よくないってことか?流石にそんな関西弁ないだろ。


「冬坂くんさ『黒のぱんつ』ってえっちいなコイツって思ってるよね?やべーの履いてんな?みたいな」


「思わな―」


 バン!水がなみなみのコップがテーブルに叩き付けられるように置かれた。


「思いました。高校生って黒のぱんつ履くんだ。なんかすげぇな。そういえばオレ生ぱん見るの初めてじゃねぇ?しかも黒のぱんつなんて、下手したら一生見れないかも、そう思いました」


「誰がそこまで赤裸々語れと」


「言語化が重要と思いまして」


「まぁ、いいわ。なんで黒のぱんつがエロいのか知らないけど」


「あの、黒のぱんつがエロいとオレが思ってる視点になってるけど、君も実は「エロい」かもって思ってるんじゃ…」


「き、君ってな!」


 あっ、やってもた。


 なんかわざわざツッコませるような振りしたよな、オレ。


 しかしまんまとツッコむんだなぁ。


北町きたまち京子きょうこ。私の名前。同じクラスなんだけど知ってた?」


「あのごめん、ちょっと待ってくれる?」


 オレは北町京子の言葉をそのままにスマホを開く。


 趣味でやってる小説投稿サイト『カキコム』に投稿してる自分が書いた小説の伸びが気に掛かってた。


 今の時点でのPVは…800ちょい超え。いい感じだ。


 PVとは『ページビュー』何回そのページが閲覧されたか表す。


 つまり、人気の有無と言っていい。


 そしてホッとした。新展開の要素振り込んだ回。反応が気になってしょうがなかった。


 安堵するオレの隣に気付けば北町京子。話の途中に悪かったなぁ。


 オレは謝ろうとすると。


「冬坂くん、今日800越え!?」


 オレのスマホをぶんどってガン見する。


 どうしたんだ?北町京子。










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