AI株に、BETだぜ!

 ちなみに、「投資」と「投機」は似ているが実際は違うものだ。投資は「資産にBETする」ものであり、基本的には長期的視野に基づき、売上や利益、今後の成長など会社のことを調べ上げ、市場での価格が安ければ株を購入し、自身が調べ上げた価値に上がるまで保有しておく。


 反対に、瞬時瞬時で「機会にBET」するのが投機であり、デイトレードはその最たる例だと言えるだろう。ただし、投機についてはAIが1000分の1秒単位で売買をしてくる時代なので、昔のようにはいかない。


 翔が得意としているのは、AIの裏をかく先方だ。たとえばAIがやってきた場合、「100円」の株が、0.1秒以下のスピードで急に「97円」までに下落、そしてまた0.1秒以下のタイミングで「99円」にまで値を戻すような、荒い値動きをすることが多い。翔は「ありえない価格」に「この価格で株を購入したい」という“指値”を入れておく。この場合だと、「97円」に指値を入れる。普通なら、0.1秒単位で3円動くということはほぼ無い。しかしAIが来ている、もしくは来る可能性のある株はそうした荒い値動きをするので、「97円で買い。98円で売り。1万株」を事前に打ち込んでおくのだ。もしAIがくれば、0.1秒以下で1万円の利益を確保できる。こなければ、何も起こらないので、低リスクだと言える。


 AIがやってくる株なのか、そうじゃない株なのか──こればっかりは、努力とセンスという他ないが、毎日のように見ていれば段々とわかるようになる。


 値動きが激しいのは、だいたい9時にスタートして30分程度。そして、11時から11時半の30分がまた動く。これが“前場”と言われる時間帯だ。そこからお昼休みを挟み、12時30分に“後場”が開き、15時に終わる。これを大引けと言う。翔の利益は本日、2万円。そのトレードの一部を公開しよう。

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