第30話

 かつて見た肖像画なんて比較にならないぐらいの美少女が、俺を見据えて挨拶をした。

 やっぱ、実物に勝る絵画は存在しないんやねぇ……。


 そうか。


 そういえば同い年でしたわ。

 そりゃ学校通い始めたら、同じクラスになったりしますわ……。



「エーツ大公家の……」

 俺の許婚の後にモブが挨拶を続けるが、俺は音声情報を消音モードにし、横の席の美少女を見る。


 実は、彼女の挨拶が終わってからもずっと視線合わせたまま。

 イライザ先生に続き、本日二回目のガン飛ばし対決かな?

 

 しばし見つめあっていたが終わりが見えないので、俺は笑顔を作り、手を振ってみる。

 すると、彼女はいきなり頬を赤く染めて、反対方向を向いてしまった。

 

 これは……。

 勝ちなのか?負けなのか?

 わからん……。


 前世では、新橋にいる中国人立ちんぼに危うく引っかかるレベルの神聖童帝であった俺だ。

 彼女の反応は難易度高すぎますわ。


 ことここにいたって、後悔しかない。

 文通していたときに「古池に蛙が飛び込んで恋の音が聞こえる」みたいなクソな詩を何故添えてしまったのだろうか。

 問い詰めたい。過去の俺を小一時間問い詰めたい。


---------------

 

 自己紹介タイムの後に入学式があったが、校長先生の話が長すぎて心身を喪失してしまい、気が付いたら放課後になっていた。


 俺がリュックを背負い帰路につこうとすると、二人の男子から声をかけられた。


「確か……高橋と鈴木だったか……」

「「全然ちがう!」」

 俺は、名前をあてずっぽで当てようとしたが失敗してしまった!



「ナーギだ」

「僕はシンリーキといいます」


子爵家の四男と男爵家の三男らしい。

なんで俺に声をかけてきたんだろう。




■■あとがき■■

2021.01.01

あけましておめでとうございます。

昨年はひょんなことから、カクヨムにてアカウントを作り、Web小説を書き、様々な作品の作者様と交流するという未知の体験をさせていただきました。

拙い文章ではございますが皆様にお読みいただくことで、励みとさせていただいております。

読者の皆様におかれましては、本年も引き続きお引き立てのほどよろしくお願いいたします。


末尾となりますが、今回、ご登場いただいた「奈岐」様および「武臣 力」様には、この場を借りて御礼申し上げます。

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