第24話
俺がマイクさんから渡された革袋には、たくさんの貨幣が入っていた。
「……これは一体……?」
「この前収穫した小麦を売った分のうち、ぼっちゃんの取り分を換金したものなので受け取ってください」
「いや、あれは実験農場で……」
だが、俺の発言を遮るようにして、マイクさんが続ける。
「いつもよりかなり多く実っていたので、今年は助かりました」
なんでも、土地面積に対して一定の比率で税がかかるから、多く実った分はそのまま収益になるらしい……。
例年の十割増しで実れば、一年分の収穫量がそのまま所得につながるとか……。
マジかよ。
「ぼっちゃんに受け取ってもらわないと、私も立場が無くなってしまいますんで……」
そう言って、強引に革袋を俺に預けてくる。
俺は、革袋を手の中に収めて、呆然としてしまう。
「それと、これは追加のお願いになってしまうんですが」
いいよ!俺になんでも言ってくれ!
「実は、さっそく近くの個人地主から畑を買い取ることになりましてね。その増えた畑にまく肥料を用意してほしいんです。お代は、また来年の収穫の後になりますが……」
了解!出来次第、すぐに持ってくる!
「へへっ……。今後も、ぼっちゃんとは末永くお付き合いさせていただきたいと思っているんで。よろしくお願いします」
その日、俺は、初めてこの世界で売上金を手にしたのだった。
この金は、絶対に大事に投資してみせる。
そう俺は心に誓ったのだった。
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