第22話
俺は、離れに住むことになった。
言い渡してきたときの義母バイ子のニヤニヤしていた顔が脳裏をよぎる。
いまごろ、バイ子は勝利の舞を踊ってるのだろうか。
昔の●-1の●ーネスト●ーストみたいに。
クソッ。
K-●のテーマソングが脳内リプレイされて余計にムカついてくる!
とはいえ、俺はさっそく離れに向かって、下見をしてみる。
いままで住んでいた本棟と渡り廊下でつながっているけど、完全に別棟です。はい。
しかも、ご丁寧に裏口やトイレまでついている。
これは……。
結構良いかもしんない。
いままで廊下で家族とすれ違ったりするときに微妙な気遣いをしていたけれども、もはやそういう気遣いが不要になった。
メシも相変わらず冷や飯だけど、ここで食べれるらしいし。
そうすると、一日に一回も家族と顔を見ることなく生活できる……。
結構良いどころか、むしろかなり良いように思えてきた。
なんたる……。
なんたる棚からボタ餅……!!
バイ子に言い渡されたときはショックを受けていたが、よくよく考えたら、ムカつく家族の顔を見なくていいって、最高じゃん?
もともと俺ってコミュ障だし。
喜び勇んで私物を移すと、俺は離れで暮らし始めたのだった。
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離れでの生活が始まったその晩、俺は離れの図面を頭に思い浮かべながら、どこに何を置くかなどベッドの上で考えていた。
割と広いから色々やれることが増えそうで、俺のワイルドライフが充実する予感しかしない。
むっちゃワクワクしてきた。
久しぶりに味わう自由。
それを噛みしめていると、天啓のごとくロクでもない発想がわいてきてしまった。
更なる自由の追求。
すなわち、クソ家庭からの経済的自立。
その発想が、俺を次なるフェーズにつき動かしていくのだった……。
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