第91話迷宮都市へ

理由を付けてやっと城から出れた。

ただ護衛に騎士が20人ってどうなんだろう。


最初、家でして行方不明になった兄が迷宮都市に居るとの情報が手に入り連れ戻す為の人選をした際に私が立候補しただけで「そんな危険な事はさせられない!!」と言い、それでも食い下がる私にだったらと言って騎士を200人程護衛にとか言い出したぐらいだから、少ないと言ってよいのかもしれない。


頑張った…、私頑張った!!

だって200人と言ってた護衛を20人まで減らしたし、何よりあの王城の外に出る機会を掴み取ったんだから!!

寧ろ騎士を200人も引き連れて他国に行ったら戦争仕掛けたと思われるし!


ただ国王である父はどうしても王城の外に出したく無いようで、最後まで納得せず他の人に命じたがってたけど私が一番に名乗り出た事、そして行方不明の王族を探し出すのに同じ王族が向かえば私に対する庶民の人気が上がりひいては私を育てた父の評価にもなると苦し紛れに言ってみたら何故か泣かれ、許可された…。


私はただ王城から出たいから思いついた事を口にしただけだったんだけど、なぜか父には最愛の娘が父の事を思っての行動だと勘違いしてくれたらしい。

なんか私があの国欲しいとか言ったら侵略戦争始めそうな気がするね。

国なんか欲しくないから言わないけど、ある意味あの溺愛ぶりには恐怖を覚えるよ。


それにしても騎士の数については紛糾したあぁ~。

実際、決定まで2日かかったし、気が付いていないふりをしてるけど、迷宮都市へ向かう私達の後方には商人や冒険者に変装した騎士が3~40名ついてきてるし。


って私が気が付かないと思ってるの?

普通に気が付くよ!!


私の乗ってる馬車の後方約200メートル後ろに怪しい集団。

既に王都を出発して2日程しかたってないけど、街道を見回っている兵士が何声かけられてたか…。

確か2回ほど100人規模で兵士がやってきたし。

まさかとは思うけどあの中に国王である父は居ないよね?


そのそも私は馬車での移動じゃなくて徒歩で旅をし、夜はテントを張ってアウトドアを満喫したかったのに、何で王家の家紋が入った馬車なのよ!!

しかも宿泊予定の宿には既に人が派遣されて料理も部屋も豪華になってるし!

普通の旅人が食べるようなご飯を私だって食べてみたいのよ!!!!


しかも出発前も出立のパレードを開くとか言い出すしてたし。

こんなことしたら獲物が王都を出発しますよって言ってるようなものなのに!!


私が間違ってるの?

ここが異世界だから?

日本の常識を異世界に持ち込んでいるから?

いや、たぶんうちの親がおかしいんだ。


そして馬車に揺られる事数日、水の国の国境を越え迷宮都市パダーリンまであと2日の所にある村までやってきた。


さすがに自国内でも怪しくて街道を警備する兵士に声をかけられるぐらいだから他国に入ったら…、っと思っていたらどうやら既に手を回していたようで私の乗る馬車とその後方をついてくる怪しい集団は巡回の兵士に止められることなく進めた。


それにしてもあのバカ兄貴!

俺は三男だからとか言って家を飛び出した挙句、王家の密偵を振り切って行方不明になったと思ったら迷宮都市に居るとか何を考えているのか。

父譲りの体力はあるものの剣は駄目、格闘技も駄目、魔法も駄目、唯一の特技が絵を描く事って、家出して何をしたいんだか!!


まあおかげで私は王城から出て旅をする事が出来てるんだけど。


迷宮都市ってどんなとこかしらね。

話に聞く限りは街の中心に迷宮の入り口があり、王都並みに栄えているって言うけど珍しいものとかあるかな?


私が迷宮の内部に入ることは流石に無いにしても、珍しい品や食べ物とかを満喫しよう。


兄の捜索は無駄に多い変装した護衛にさせればいいし。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る