第23話鎧と剣

カトレアの用意した魔導書の中に、結界魔法の魔導書があったので覚えさせてもらい使用をしたところ、結界魔法はどの属性にも属して無い様で正常に発動し、自分を中心に球体の膜のような物が現れる。


少し大袈裟に喜んでみると魔法を苦も無く覚えられ若干不機嫌だったカトレアも少し機嫌が良くなったような気がする。


「それにしても、ここにはかなり色々な品があるんだね…、宝箱とかも転がってるし…」

そう言って改めて大広間を見渡すと、カトレアは苦笑いをしながら、理由を説明をはじめる。


どうやら原因はこの結界のようで、普通であればダンジョンに行き渡るはずの魔力がこの大広間に滞留しているのが原因で、本来ダンジョン内に出現する宝箱がこの大広間に定期的に出現するようです。

しかも高密度の魔力で生み出された宝箱の為、中身はランダムとは言えどれも上級の物ばかりだそうで、アンデッドであり、ここから出れないカトレアにとっては、たまに手に入る茶葉や食料ぐらいしか興味が無いとの事で邪魔だから壁際に放置しているとの事らしい。


それにしてもアンデッドが食事するのも不思議なんだけど、それよりも覚えていないぐらい長い間こんなところに閉じ込められてたらそうなるよね…。


そんな事を思いながら、ふとした疑問をカトレアにぶつけてみた。


「そう言えば、本来正常なダンジョンでは階層主の部屋にはレアアイテムがある宝箱があるって言ってたけど、この部屋には無いの?」


そんな自分の質問にカトレアは苦々し気な表情を浮かべ、正面の祭壇らしきものを指をさしている。


「あの祭壇で塞がれているが、あの後ろに部屋がある、そこにこの階層の宝箱があるはずよ。 ただ祭壇にも結界が張ってあって私には触れる事すら出来ないのよ」


そんな言葉を聞き、興味を惹かれ祭壇に向かい動かせないか確認しますが、どうやら細かい彫刻が施されて所々金属で補強されているけど、材質はただの木材のようで、押せば動かせそうな感じだった。

それにしても長年放置されても劣化しない木材って、特殊な木材なのか、それとも状態保存的な魔法でもあるのかな…。


そう思いながら、祭壇を押して移動させると、祭壇の後ろから扉が現れる。

興味があるのかカトレアも覗き込んでくるので、扉を押して中に入ると、そこには宝箱が横一列に3個並び、さらにその奥には、3つの台座があり、真ん中には真っ赤な液体が入った大きなビン、そして左には純白の鎧、右には、同じく純白の剣が置かれていた。


「ああ~~!!!! 私の鎧と剣!!!」

そう言って部屋に入ろうとしたカトレアが結界に弾かれますが、どうやら鎧と剣はカトレアが昔使っていたもののようで凄い執着している感じがする。


てか、カトレアって魔法使いとかじゃなかったんだ…。

なんかローブとか来てるし、魔法を意地になって教えてくれてたから魔法使いだと思ってた。


そう思いながらも部屋に足を踏み入れ宝箱を順番に開いて行きます。


本が2冊、青い大きな宝石のネックレスが1個、なんかとりあえずレアアイテムっぽいな。


振り向いてカトレアにこの本は何? と聞くとスキルの書と言って、手に本を持ちスキルを思い描くとそのスキルが身に着くとの事、スキルか~、思い描いた便利スキルを得られるのは大きいな。うん便利だ、じゃあ早速…。


そう思い、本を手に持ち異世界ラノベで定番の鑑定を思い描く。

鑑定した対象物の名前、効果、身体情報などすべてが分かる感じで…。


そして覚えた鑑定スキルでネックレスを鑑定すると、頭の中にアイテムの情報が流れ込んで来た。(生命のネックレス、これを装備している者は、ネックレスの宝石と引き換えに一度だけ死んでも生き返る事が出来る、死者であっても蘇生効果あり)との事。


なんかとりあえずレアアイテムっぽいな、それにしてもスキルの書って思い描いた便利スキルを得られるのは大きいな。

もう一つはじっくりと検討してスキルを覚えよう。

それにしてもこのネックレスを装備してれば一回は死んでも生き返れるとか超チートアイテムじゃん!

鑑定最高!!!!!!


そう思いながらも後ろを振り向くと、ふてくされたカトレアがこちらを忌々し気に見ています。

恐らく自分の鎧と剣を早く持ってこいと言いたそうな顔をしている。


ふてくされたりキレられても困るので、鎧と剣を回収し、結界の外に居るカトレアに渡し、再度、台座の真ん中にある赤い液体の入った瓶を鑑定します。

(白銀の聖女カトレア=フォルバン=フレグラードの血、結界の触媒)

うん、あっけなく結界の触媒発見したよ…。


ただなんか明らかにトラップと言わんばかりに台座の周りに魔石が嵌め込まれてるし、ビンの下にも大きな魔石と魔法陣があるんだけど、これってビンを動かしたらトラップ発動するタイプじゃない?

うん、一度カトレアに相談してみよう。


そう思い振り返りながら声をかけると、カトレアは鎧と剣に頬ずりをしてるし…。

そんなに大事な物だったの?


てかもっと大事そうな物発見したんだけど、全く人の話を聞いてない。

うん、しばらく落ち着くまで待とう、機嫌損ねると面倒だし。


それにしても白銀の聖女と呼ばれてたんだ…。

それが何でこんなダンジョンの最下層でアンデッドをやっているんだろう?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る