第24話人化の魔法

カトレアが鎧と剣を抱き寄せ頬ずりをし続けていて、全く自分の声が耳に届いていないようなので部屋の端に積み上げられた品々の鑑定をする事にする。


これは只の宝石、これは腕力が少し上がる指輪、これは火の魔法が付与された剣‥………。

チョイチョイと気になる品があるけど、とりあえず今は只の財宝類、アイテム類、魔法が付与された物、特殊な品っぽい物、などに仕分けに専念をしていく。


う~ん、なんかこの命の指輪って生命のネックレスと同様の効果みたいで鑑定結果は(指輪を装備している者は、指輪の宝石と引き換えに一度だけ死んでも生き返る事が出来る、死者であっても蘇生効果あり)ってなってる。

そしてアイテムバッグもあってその数全部で14個、しかも容量は特大と大、流石にラノベみたいに無限容量の物は無かったけど、これだけアイテムバッグがあれば売っただけでもかなりの額になりそう。

さらに財宝類もかなりあるから一生遊んで暮らせるぐらいの大金持ちになれそうな気がしてきた。


そんな事を思いながら仕分けを続けていると、「何をしている!」 と不意に後ろからカトレアに声をかけられます。


振り向きざまに「財宝類の仕分けを…」 と言いかけたところで、カトレアの姿を見て息をのんだ…。


白銀の鎧を身に着け、純白の羽織を着た青い髪の美少女がそこに居ます。


「えっ? カトレア? ていうかいつ着替えたの? ていうかローブは? その羽織り特服みたいでかっこいいんだけど、てか何で人間の姿してるの? さっきまでノーライフキングだったのに?」


カトレアの姿を見て疑問が次々に口から飛び出すが、最後に何で人間の姿してるの? がまずかったようで、一番最初にそのことを聞くのが普通でしょう! と何故か突っ込まれた。

いや、まあそうなんですけどね、その辺のデリカシーが無いのよ…。

あったら日本で生活してた時、年齢=彼女いない歴では無かったはずだからね。


そんな事を思いつつ、今の姿について再度聞くと、人化の魔法との事。

カトレアの話では、高位の竜種や魔物も人間の言葉を話したり人化の魔法を使えると言っていた。


そういえば、真実の鏡ってのがあったけど、これにカトレアの姿を映したら…、鏡に映るカトレアはアンデッドでした。 


「カツヒコ、あなた何を遊んでいるの?」

「いや、カトレアが急に美少女になったのに驚いただけだけど…。 後はここの結界を解除して外に出る時の為に、この財宝類を仕分けしてたんだけど、何故に人化して人の姿に?」


「あのままの姿でこの格好は似あわないでしょ! それに私みたいな美少女に手ほどきを受けた方が貴方もやる気出るんじゃない? まあそれはそうと、その仕分けは後にしなさい、私が剣技、短剣技、槍技を教えてあげるんだから」


そう言ってやる気まんまんで剣を構えるカトレアに、心の中で普通自分で自分を美少女って言う? と思いつつ、アイテムボックスからドロップした剣を出して向き合いあう。

一応、リビングアーマーの剣技をまねて少しはまともになったはずだからそこそこは行けるだろう…。


そう思いながら、踏み込んで剣を振り下ろす。

剣が空を斬りバランスが崩れたタイミングでカトレアが足払いをし盛大に転んだ!


「動きが単調! 次!! 早く立ちなさい!」

立ち上がりそう言うカトレアに向かって右から、左からと剣を振るうが、まるで未来予知をしているかのように振り下ろす前にカトレアは体をずらし剣を余裕で避ける。


「だから動きが単調だって言ってるでしょ、剣を振るう前から何処を斬ろうとしているのか丸わかりよ。 次! 早くかかってきなさい!」

その後も剣を振るうも全く剣が当たるどころか一合も交えられない。


これでも出来る限り身体強化を使ってるんだけど、それでも剣をカトレアに当てられる気がしない。

そんな事を思った瞬間、カトレアが剣を無造作に横に振る。


スパッ!!!!


カラン、カラン…。


「えっ?」


何の手応えも無かったんですが、ドロップした剣がスッパリときれている。


「あなた、何故剣に魔力を纏わせないの? 身体強化はしてるみたいだけど、剣や身体に魔力を通し強化するのは基本中の基本でしょ!!」


そう言うカトレアに、何のこと? と質問をすると、大きくため息をつかれ、また座学が始まった。

なんか異世界の剣技って色々とあるんだね…。


ていうか鉄の剣がスパッとまるで豆腐のように切れてしまうって…。

カトレアの剣がすごい業物なの? それともさっき言ってた魔力を纏わせる云々ってのが原因なの?


「剣や身体に魔力をって基本なの? 身体強化と回復魔法を常時発動して魔力が切れるまで剣を振るう事は出来るけど…」

「はぁ? 回復魔法を常時発動? 何を言っているの?」


「いや、回復魔法を自分の身体に常時発動して回復すれば疲労も回復するから魔力切れるまで疲れないじゃん。 魔力は垂れ流しだから長時間発動してると魔力切れになるけど…」

「カツヒコ、あなたやぱりおかしいわよ! 回復魔法は対象に手をかざして発動させるものよ。 それをどうして自分の身体に常時発動させられるの?」


「いや、魔法って何も手から出さないといけない決まりはないでしょ? だから極論、口から火魔法を発動させて火を噴いたようにして使っても問題なくない?」

「た、確かに手からとか杖からとか決まっては居ないけど、どうしてそんな発想が生まれるのよ…。 あなたに魔法の基礎を教えた人も手から魔法を発動してたんでしょ?」


「まあ、手から魔法発動してたね…。 う~ん、前世でラノベを読みまくった結果固定概念が内的な?」

「ラノベ? なにそれ…、本?」


「うん、本だね、まあ空想の物語で何でもありな物語の本、それ以外にもいろいろと魔法や異能力が出て来る物語とかが沢山あったしね」

「はぁ~、カツヒコの居た世界ってどんな世界なのよ…。 この世界の常識がどんどん崩壊していくわ…」


そう言ってカトレアは盛大にため息をついているけど、多分日本人の若者の多くは同じようなもんだと思うよ。

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