第22話魔法講習

カトレアいわく、この世界の魔法は、体内の魔力を感じる事から始まり、詠唱により発動する魔法をイメージをし発動するらしい。


冒険者にして貰った両手を繋いで魔力を通して属性を覚えさせるのは初歩の初歩で、そこから身に付けられた属性に合った魔法を覚え使いこなせるようにするのが基本。

そして、イメージして自分だけの得意魔法を作るのが普通と言われていまった。


冒険者の皆はそんな事まで教えてくれなかったな…。

子供に教えると危ないからか?

それとも基本修行をしろという事だったのか…。


とは言え熟練者ともなれば詠唱無しでも魔法を発動できるらしいけど、呪文を使用する魔法は高位魔法が殆どで、魔導書を使って覚えるか、誰かに頼んで教えて貰い練習を重ね覚えるのが普通らしい。


ただお金に余裕のある人や貴族なんかは、金で買った魔導書を使って覚える人も居るらしいけど、相性の良い属性でなければ威力は落ちるので、自分と相性の良い属性の魔導書を使って必要な魔法を覚える事が重要との事。

まあ貴族なんかは威力などはどうでもよく、高位の魔法が使えるというステータスが欲しいだけらしい。


う~ん、それにしても自分と相性の良い属性って何だろう?

ほぼ普通に発動は出来るんだけど…。


「わかった? あなたが基本どころか初歩しか知らなかったって。 なのに特殊な使い方をしてるのよ」


う~ん、特殊な使い方って言われても、この世界の普通が分からんしな~。

そんな事を思っていると、まずは魔導書を使用し魔法を覚える事から始めるとの事で、テーブルに並べられた魔導書の説明から始まった。


カトレアいわく、魔導書とはダンジョンから生まれるアイテムの一種で封じられた魔法を覚えていない人が開くとその人間の頭に直接封じられた魔法の理と呪文が流れ込んで来て覚えられると言うものだそう。


ただし使用回数は1回のみで使用した後は只の白紙の本に戻る、とは言え白紙になった本も高位の魔術師などが再度魔法を封じる事でダンジョン産よりは精度が落ちるものの再利用が可能らしい。


テーブルに並べられた魔導書は種類ごとに並べられており、補助魔法、属性ごとの防御魔法、属性ごとの攻撃魔法といった順に並べられている。


並べられた魔導書の説明を一通り受け、実際の魔法をカトレアに見せてもらいましたが、どの魔法も基本的に火・水・風・土・雷の基礎が出来ていれば応用で使用できそうな魔法だ。


「貴方ね~、応用で出来るわけないでしょ! 一つの魔法を覚えたり、開発したりするのがどれだけ大変なことか分かっているの?」


そう言って呆れているカトレアですが、手本として見せて貰った防御用の火の壁、ファイアーウォールを、火魔法の応用で展開して見せる。

要は火が出せれば出力を上げて自分の目の前に炎を滞留させ炎渦巻く壁を作るだけでしょ?

見た感じのファイアーウォールを自分の中でイメージしたら出来ちゃったんだもん!


「あ、あなたファイアーウォール使えたの?」

そう言って驚くカトレアに、手本を見て火魔法を応用したら出来たと伝え、アイスウォール、ウォーターウォール、ウインドウォール、サンドウォール、サンダーウォール、を順番に発動する。


「はっ? なにそのサンダーウォールって、そんな魔法聞いた事ないわよ、なんで雷魔法でそんな壁が出来るのよ!! それとそのサンドウォールで出した砂、ちゃんとかたづけなさいよ! 部屋が汚れるでしょ!!」


そう言って驚いているカトレアですが、すべて応用してみただけと言うと目を丸くし驚きの表情をしている。

「転生者や召喚者は普通の人間に比べ能力が高いのは知っていたけどここまで規格外なんて…」

「いやイメージが重要って事だから、電流を上から下、下から上、そして右左と電流がぶつからない様に少し隙間を空けて一定方向に流して壁みたいにしただけなんだけど…」


「それが普通じゃ無いのよ!! 雷の魔法は操作が難しいの、狙って撃っても正確に目標に当たる様になるまで相当練習が必要だし、扱いを間違えれば弾けるし!」

「あ~、雷とか普通なら目標に当てるとか無理っぽいもんね…、だったら魔力で操作すれば良いだけじゃない? 有線式魚雷みたいに魔力の糸を繋げて操作すれば目標に当てられるんじゃない?」


「有線式魚雷? 何それ?」

「ケーブルで魚雷を操作して狙った船に当たる様にした魚雷?」


「言っていることが分からないわ…」


思いっきり真顔で言われた!!


多分、これまでの転生者や召喚者は時系列的に地球と同じ時間の流れなら、自分より過去地球で暮らしていた人間だったから、そこまで魔法に関してイメージが弱かったんだろうけど、今の日本人は色々なゲームや漫画、小説とかそして科学なんかで知識や想像力は豊かだろうからね。


魔法はイメージが重要とか言われると案外簡単に出来てしまう。

カトレアが死んでから月日が400年以上経ってるからね。イメージしていた転生者や召喚者が400百年前とどれだけ違うかカルチャーショックを受けるのも当然だろうな。

なんせ日本でもここ数十年でゲームや漫画、ラノベなんかが普及し、魔法なんかもイメージしやすいし。


私が今まで様々な魔法を苦労して覚えたのにと言う表情のカトレアをですが、だったらと言わんばかりに様々な魔法の見本を見せてきますので、魔法をイメージと想像力で覚え実践して見せる。


あっ、カトレアが完全にムキになった…。

ヤケになって私の知ってる魔法を全部覚えさせるとか言い出した…。


うん、せっかく用意してもらった魔導書必要無かったね…。 ゴメン…。

だけど威力がどれもカトレアの1/10以下なのを見てなんかドヤ顔してる…。

魔力量が少ないから仕方ないじゃん!


でも魔法を乱発しても何故魔力が枯渇しないんだろう?

さっきから魔力を使ってるのに減った感じがしない。


「カトレア、さっきから魔法を乱発してるのに魔力が枯渇しないんだけど何で?」

「ああ、そんな事? この結界の中は迷宮の最深部、まあ言うなれば心臓のような場所かしら、そこから溢れる魔力が結界の影響で迷宮に流れ込まず結界内に留まっているから魔力が濃いのよ」


「じゃあ魔法を使って魔力を消費してもすぐ回復するって事?」

「そうね、とは言え普通ここまで魔力が濃い場所など世界に数える程しかないだろうから、まあカツヒコが結界を解除してくれれば堰き止められた魔力が迷宮内に流れ込むから普通のダンジョンになるだろうけど」


うわ~、もう自分が結界を解いてカトレアを解放するの決定事項になってるし…。

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