第51話 楽しいと思える

俺はナオの見舞いが終わった後、再びグループ1に戻った。


俺は食堂でミーティングがある時に今までの記憶が戻った話をすることに決めた。


俺は心の中で内通者などいないようにと願った。


ミーティングの内容が終わった後俺は口を開いた。


「今まで、みんなには言えてなかったことがある。」


みんな俺の方に不思議そうに見た。


「実は俺のある昔の記憶が信憑性の薄いものだと、毎日感じていたんだ。その理由は、俺の記憶に違和感があったから。


そして、最近、俺のある昔の記憶が戻った。

それは俺が既にもっていた記憶とは全く違うものだったが、やっと本当のことを知ることができた。これも、たぶん、みんなと関わりが増えたおかげだと思う。ありがとう。」


と俺はそれっぽい言いたい理由をつけてみんなの前で伝えた。


俺はグループ1のみんなの顔を見渡した。


動揺しているようなメンバーは見当たらない。


俺はとりあえず一安心した。


「わざわざ、言ってくれてありがとう!」


とミナが嬉しそうに言った。


他のみんなも励ましの言葉を言ってくれた。


ミーティングが終わり、ヒロがすれ違いざまに


「まだ、安心するな。動くとしてもこれからだ。」


とぼそっと俺に言った。


次の日、俺はグレーボーダー全体に言うとしたところ、ヒロに何故か止められた。


もしかしたら、グループ1の中に内通者がいることが確実になったのかもしれない。


俺は任務続きで行けてなかった、学校に久しぶりに行くことができた。


学校に行くと、ナオが登校していた。


ようやく、退院することが出来たのだ。


俺がナオとペアを解消していることと、アレクとヒロのペアを解消させたことは、みんなにもう、知られていた。


しかし、ヒロと俺が組んでいることはまだクラスの人は知らなかった。


なので、クラスのみんなから聞かれる質問は一択。


「お前って解消者なの?」


俺も解消者という言葉を初めて聞いた。


解消者というのは、ペアをとにかく解消させたがる人のことらしい。


たしかに俺は、この短期間で解消しかしていないから、そう思われたらしい。


あまり、しつこい質問に俺が困っていると、

ミナかナオかスリーが助け舟を出してくれる。


まぁ、ミナは助け舟という落ち着いた言葉では表せない、激しい船を出してくるが‥。


この3人のおかげで、不快な思いもほとんどせず、楽しく過ごせている。


ナオも退院して、やっとグループ1に戻ってきた。


ヒロも嬉しそうだった。


ある日俺は、ヒロと話をしていた。


「俺、ヒロに言い忘れたことがある。」


と俺は能力で時間を戻したことをヒロに伝えることにした。


「スリーと戦った時、能力で時間を戻した。遅くなって、ごめん。」


俺は素直に謝った。


「へぇー。時間戻したんだ。そんなに、ガチで戦ったんだ。それで、眠ったんだ。へぇー。」


とヒロは注意をする訳ではなく、嫌味っぽく言った。


「まぁ、いいけど。今言ったし。」


「ていうか、こっちだって、まだヒロの能力とか知らない。ペアじゃないスリーは知っていたのにだ。」


と俺が言うと


ヒロは少し目線を逸らしてから


「じゃあ、当ててみてよ。」


とマサと同じことを言った。


「マサと同じこと言うな。」


と俺は少しごまかしたヒロに腹が立った。


「本当にそのうち言うから。今は秘密ということで。」


と怒っている俺を収めるように言った。


ヒロとの会話は終わり、夜になった。


最近はよく眠れていた。


きっと、この場所に前とは違う安心感を持てているのかもしれない。


しかし、今日はヒロの能力のことで頭がいっぱいでなかなか寝付けない。


俺はとりあえず、目を瞑って、羊を数えるようにみんなの能力を言いながら寝ようとした。


すると、俺の部屋が空いた音がした。


俺はもしかしたら、おとり作戦に引っかかった奴だと思い、思わず寝たふりをした。


少しずつ俺の方に近づいてくる。


そもそもこんな時間に来るなんて明らかにおかしい。


足音が止まったところで俺は目を開けた。







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る