第50話 久しぶりの会話
その後話が終わり、俺とヒロは解散した。
ヒロは何か他にやることがあるようだった。
今回の話で、ヒロはまだ全てを俺に話してはくれなかった。
俺はヒロの能力をまだ知らない。
俺は隠し事をしてないのに。
ん?まてよ。
俺はスリーとの戦いで初めて時間を戻した。
確か、ヒロは勝手に時間を戻すなって俺の能力を説明してくれた時、言っていた気がする。
随分前になるが、これは言った方がいいのだろうか。
次会った時に言おう。
俺は意識の戻ったナオの入院先に向かった。
意識が戻ったことで、この前の治療室と場所が変わったそうだ。
病室の扉を開くと
ナオがベッドの上でストレッチをしていた。
俺は動いているナオを久しぶりに見た。
「もう怪我は大丈夫なのか?」
と俺は、見舞いで持ってきたお菓子を机に置きながら言った。
「あぁ。もう、動きたくて仕方ないんだ。」
と俺はナオの声を久しぶりに聞いた。
「ミナたちから聞いたんだけど、俺が目覚めた時、サンが今度は目覚めてないって聞いて自分のことよりそっちが心配になった。」
とナオが少し口角を上げて言った。
「俺も、一緒だ。目覚めた時、自分が目覚めたことよりナオとカナタが目を覚ましたことの方に意識がいってたよ。」
と俺がいうと
「それは、一緒じゃない。サンはもっと自分の心配をした方がいいよ。俺は目覚めたのに余計、顔色悪くなったんだ。薬を勧めた俺のせいじゃないかって。」
と俺に注意した。
ナオにそんなことを思わせてしまっていたのは本当に申し訳なかった。
「ナオのせいじゃない。」
と俺がいうと
「当たり前だろ。このまま死なれたら、俺までメンタル死ぬところだったよ。」
と意外と正直に言った。
「寝ていた間のことは知ってるのか?」
「ミナとスリーが来てくらた時に、説明してくれた。ミナのモノマネがうまくて目に浮かんできたよ。あいつ、何でも大袈裟だろ?」
とナオが笑った。
ミナの必死に再現しているところが目に浮かんで俺も思わず笑ってしまった。
俺はミナとスリーが既に言っていても、ナオに自分の口から伝えなければならないことがあった。
「実は、俺、ヒロとペアと組むことになったんだ。」
と俺は改まって自分の拳を握りながら、言った。
ナオは数秒ほど固まった。
すると突然笑い出した。
「はははっ。そんなことか。もしかして、俺とペアを解消したから気にしてんのか?」
とナオは俺の気持ちを読み取った。
図星だった俺は少し目線を下げた。
「気にしなくて良いって言ったはずだ。
俺はお前の最強のライバルになる。
お前は俺に負けないライバルになれよ。」
とナオは優しい笑顔で言った。
ナオは優しすぎる。いつか、架空業者から連絡を来ても相手の心配をするタイプだ。
「ありがとう。いつも感謝したりてないぐらい、本当に感謝している。」
と俺も笑顔で言った。
「俺さ、退院したらグループ1に戻ろうと思う。」
とナオが突然発した。
「そっか。俺もそうしてくれたら、嬉しい。」
俺はそこまで、驚かなかった。
ナオとミナとスリーと俺が一緒にいる姿が目に浮かんだ。
俺はナオの机に置いてあったボロボロのヘッドフォンを見た。
「ヘッドフォンは壊れていたのか?」
と俺は思い出して、言った。
「つけてみたが、壊れてはいないかった。」
俺はそれを聞いて少し安心した。
「退院して、Sランクの順位底上げするから、覚悟しろよな。」
とナオが言った。
「俺も負けない。」
俺とナオは久しぶりの再会を楽しんだ。
時間はあっという間に過ぎていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます