第48話 目覚め

「はいはい。仲がよろしいことで。」


とミナが間に割って入ってきて


「それより、じゃあ、この偽ヒロ犬は何?」


と言った。


俺たちは皆、一斉に偽ヒロ(犬みたいな奴)の方を見た。


「あ〜。こいつ、犬じゃなくて、俺に入り込んでた悪者の正体。しっかり、言葉も喋る凄い奴さ。」


とヒロが言うと


まるで信じられないミナは


「ヒロー。流石に嘘は良くないよ。嘘つきぃ。こんな可愛い子があんな気持ち悪い化け物のわけないじゃない!」


と言ってミナが偽ヒロを撫でようとすると、


「やっぱり、こいつ嘘つきなんだな!」


と偽ヒロが喋った。


「喋った‥。」


とミナが偽ヒロに触れようとしていた手を背中に戻した。


「泣き虫、サン、こいつの名前を決めてください。」


とヒロに命じられた俺は



「じゃあ‥、『リアルヒロ』で。」


と目をゴシゴシしながら言うと、みんなして大笑いした。


「偽ヒロじゃなくて本物になってんじゃん!!」


とアーシャが腹を抱えて笑ってた。


「じゃあ、『リアルヒロ』で決定だね。」


とスリーも同意してくれた。


その後、今度こそ戦いを終えた俺たちグループ1は、まだ意識のないカナタとリアルヒロを連れてグレープ1の基地に戻った。



俺たちは基地に戻り夕食の準備をしていた。


「サーン!そこの皿取って!」


とミナが俺に頼んできた。


俺は棚から食器を取った。


そして、机に運ぶ。


「ガッシャーン」


皿の割れた音がした。





俺はまたいつもの夢を見た。


そして、目を覚ました。


能力『時間』によって意識を失ってしまったようだ。それもそのはずだ。今まで能力を1番発動したのだ。


俺の部屋に誰か入ってきた。


スリーと目が合った。


「サン君!よかった!」


とスリーは言うなり、他の皆を呼んできた。


「まる2日間ぐらい寝てたのよ。」


とミシェが言って、俺のおでこにデコピンをした。


「あげた薬の摂取量とりすぎたんでしょ!!

一歩間違えれば生死に関係するのよ。今回大丈夫でも、次はないと思ってね!約束守れないならもう、つくってあげないからね!」


とミシェに俺は注意された。


まる2日間も寝るなんて今までそんな寝たことはなかった。


「でも、良かった。みんな起きてくれて。」


とミナが言った。


「みんな?」


俺がミナに聞くと


「あー!カナタ君とナオも目を覚ましたのよ!サンが寝ている間ね。」


とミナが言った。


俺は自分が無事起きれたことより、カナタとナオが2人とも目を覚ましてくれたことに安心した。


「カナタとナオはどうしているんだ?」


と俺が聞くと


「ナオは目を覚ましただけだから、もうちょっと入院。

カナタ君は、グループ1の雑用とかやってくれてるかな。」


とミナが説明してくれた。


「カナタはここにいるのか!?」


俺はベットから飛び上がった。


「まぁ、そうだけど‥。」


とミナは俺の勢いに驚いている。


俺はすぐさま自分のベッドそして部屋から脱出して食堂に向かった。


食堂に入るとカナタがヒロと話していた。


「カナタ‥。」


俺は会話していた2人の中に向かって言った。


「サン!やった起きたか。」


ヒロは手を振った。

 

「カナタも起きたんだね。」


「あなた誰?僕の名前何で知ってるの?」


とカナタ言った。


「あー。俺たちさ、こいつが目覚めてから色々話とか聞こうと思ったら、何にも覚えてなくてさ。」


とヒロが言った。


「そっか‥。」


「こいつが、お前の友達って言ってたサンだよ。」


とヒロがカナタに説明していた。


「僕のこと知ってるんだ。」 


とカナタがこっちに体を向けた。


「まー。知ってるも何も小さい頃からずっと一緒だったし。」


と俺は動揺しながらも言った。


「あ、ちょっと待って。カナタにサンから話を聞いてもらいたいところだけど、サンに話したいことがあるから、カナタ席外しててもらってもいい?」


とヒロが言うと、カナタは食堂から出ていった。


「随分とカナタと仲良いんだな。」


と俺が皮肉混じりに言うと


「あいつが何なのか、何があったのか、詳しいことをあいつ自身、何も知らない。

今はみんなで普通に接することしかできないんだ。」


とヒロが言った。


「ふーん。」


俺は吐息混じりに答えた。


「今のカナタの扱いについて話したい。そして、お前が寝ている間に起こったことも。」


とヒロは真剣な眼差しで言った。

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