第46話 リミッター


ヒロの体はどんどん肥大化していく。


「サン!カナタ君は、僕に任せて、ヒロを助けに行って!!」


とスリーの声ではっとした。


「アーシャ!もしかして、これもカナタと一緒で下の方に人間のヒロがいるんじゃないか?」


と俺はアーシャに提案した。


「そうだな、とりあえず、避けながら、下に行ってみよう。それにしても人数が足りない。」


とアーシャは心配を口にしつつ、俺とアーシャはヒロの下の方を見にいく。


しかし、見に行こうとするが、攻撃をされてなかなか行けない。


その頃、化け物の姿をしたヒロの心理の中では


「おい、お前、俺を使って化け物になったな?」


とヒロが何かに話しかけている。


「おいおい、無視かよ。お前が俺の体内に入ってることぐらいわかってんだよ。」


とヒロはまだ、何かに話しかけている。


「うるさい‥。俺はお前に入る予定ではなかった。お前の中はなんだか、心地が悪い。」


とそいつはやっとヒロに返事をした。


「失礼だな!もっと、居座るなら心地いいぐらいお世辞言ってもいいんじゃないか?

やっぱり、サンに入る予定だったか。」


とヒロはそいつに言った。


「お前の体、気味が悪い。本当に人間なのか?」


とそいつは言った。


「俺はただの人間さ。」 


とヒロは両手を上げて言った。


「ふっ。お前は嘘つきみたいだな。」


とそいつは言った。


「そんなことより、いいのか?倒されちゃったら消えるのはお前だろ?」


とヒロは話題を変えた。


「ははは。確かにな。何かしらは俺が不利な形になるだろうな。しかし、お前の体は不便は不便だが、かなり強いみたいだ。あいつらが倒せるかな。」


とそいつは笑いながら言った。


「そりゃどうも。倒すのは無理だな。」


とヒロは軽くあしらった。


「ぶっ。お前ですら、諦めてるなんて仲間の信頼どうなってんだ。」


とまた笑った。


そしてその頃のサンたち


俺たちは、相手の攻撃が激しすぎて、対応することしかできずにいた。


「サン!アーシャ!一旦下がれ!」


と団長のグレーが遠距離で攻撃しながら、言った。


俺たちはグレーに言われた通り、一旦近距離戦から下がった。


すると、ボロボロになったミシェが後ろからきた。


「もう、いきなり何?ほんと、困っちゃうんだから。」


と怪我をしてなさそうだ。


ミシェは、服についた汚れを振り払った。


「あれ?何この化け物。」


とミシェは今知ったようだった。


グレーをさっきあったことを説明した。


「じゃあ、あれは、ヒロなの?ヒロにしては弱そうね。」


とミシェはこの期に及んで呑気であった。


「おい、ミシェ、今は戦闘中だ。呑気な発言は慎め。」


とグレーが注意した。


「はーい。すーいません。」


とミシェは軽く返事をした。


しかし、本当に呑気なことは言ってられない。


ヒロが元々強いことに関連しているのか、この化け物はさっきのカナタより強い。


ミシェが思い出したかのように口を開いた。


「あ、でもヒロに何か刺さってたのよね?だったら、それ抜けばいいんじゃない?」


と言った。


「それだ!」


とアーシャは叫んだ。


確かにその可能性はある。


化け物の下の方よりを、探すより簡単かもしれない。


俺とアーシャは早速化け物の上の方を中心に刺さっているものがないか探すことにした。


その頃ヒロの真理の中では


「あいつら、全然攻撃してこないぜ。これはもうお前のことを完全に諦めたな。」


とやつが言った。


「ふっ。お前こそ、まだ気づかないのかよ?」


とヒロは言った。


「なんだと?」


「あいつらはお前を倒そうなんてこと、まず考えてないね。俺を救い出すことしか頭にないような、奴らだよ。」


とヒロは笑みを浮かべて言った。


その頃、サンたち


俺たちはヒロの首に刺さっていたものをなかなか、見つけられずにいた。


しかし、化け物の攻撃は続く。


「ダメだ。人手がどうしても足りない。スリーこっちに来れないか?」


とアーシャがスリーに頼んだ。


「わかった!ここはミナに任せるよ。」


と言ってスリーも加わった。


「これも能力『喪失』できたりするか?」


と俺がスリーに尋ねると


「できるけど‥。能力ほとんど発動していないと思う。」


スリが言うように、能力は発動しても変わらないかもしれない。


「それに、ヒロの能力は攻撃的なものじゃないし。」


とスリーが言った。


俺はヒロの能力を知らなかった。


ヒロのことだから、ごく少数にしか言っていないのであろう。


「そっか。なら違うか。」


と俺はそこはサラッと受け流した。


「とりあえず、サン君が1番能力的にヒロに近づくのは適任だと思う。」


とスリー言った。


「わかった。俺が中心的に探す。」


と言って、俺は能力『時間』を発動した。


「遅くなれ」と心の中で呟いた。


俺は化け物の攻撃を避けて近づこうとした瞬間、体が急にズシッと重く感じた。


俺はジャンプしていたはずなのに、体に力が入らずよろけてしまった。

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