第24話 マサの能力
マサはヒロと食堂でくつろぎながら話をしていた。
「マサ! 俺、精神の根底に辿りつけたよ。」
と俺の声は弾んだ。
「さよか!3日でたどり着けたか。さすがヒロの教え子や。」
とマサが言うと
ヒロは不機嫌そうに
「いつから、サンが俺の教え子になってんの?教え子じゃないさ。」
と言った。
「やめてよ。教え子ってことは、ヒロより俺が下だと言っているようなもんだ。」
と俺も否定した。
「さよかさよか。ヒロとペアになりたかったねんな。
なら、こないなこと言ってらんないな。
早速、サンが自身の能力を制御することが、意識的にできとるかどうか確認のために俺と戦ってみよう。」
と言った。
「気楽に頑張れ〜。」
というヒロの覇気のない声援を受けた後、俺とマサは仮想室に行った。
「サンの能力は、『時間』やったな。
今から俺がサンを攻撃するから、それに対して意識的に反応できるかやってみよう。」
とマサは攻撃の準備をした。
「ま、待って、俺マサの能力知らない。」
と俺が言うと
「何や?俺の能力をつこうて欲しいのか?」
とマサが言った。
使って欲しいというより、いきなり予想外の能力で攻撃受けるより、先に知って準備できる方がいいと思ったのだ。とはいえ、とっさにどんな準備ができるかわかないので、心の準備、にすぎないのかもしれない。
まあ、確かに、能力がわからない相手が現れた時にも対処できなければならない。心の準備をするというのも土台無理な話ということか。
俺はそんな風に考えを巡らせていた。
そうこうしているうちに、マサが
「ほな、わいと戦って能力の制御の意識があるか確認しつつ、俺の能力が何ぞか当てるゲームしようやんけ。」
と提案してきた。
何だか、頭を使う情報量も多い戦いになりそうだが、未知のものを見たいという好奇心を無性にかき立てられた。自分を試したい気持ちも湧いてきて、面白いことになりそうだ。
「わかった。それでいこう。」
と俺はその提案に賛同した。
マサは戦闘態勢に入った。
「いつでも、行っていいんやな?」
と聞くマサに
ああと返事をした。
すると、マサが瞬時に飛び上がった
これは、浮遊かと思った瞬間、瞬間的なジャンプだということに気づいた。
さらに、俺は意識に集中させた。俺は、いつもと違う感覚に陥った。神経とは別の何かの感覚に力が入る。そして「遅く」と心の中で意識すると、時間が止まっていると、錯覚に陥るくらいに時間が遅くなった。
俺は成功したのだ。能力の制御を意識的にできるようになったのだ!!
俺はそのまま、マサの後ろに回り込んだ。
俺の能力、『時間』にも制限もあるみたいで、少しの時間が経つと、「速く」と心の中に意識しなくても元の速さに戻った。
元の時間になり、マサは瞬時に俺が後ろに回っていることを察してジャンプしていた状態から、地面に着地した。
「能力の制御を意識してできてるやん。自分で能力を操ることができることは大きな第一歩だ。良かった。ほんで、わいの能力は分かったか?」
とマサが俺に向かって言った。
「おかげさまで。全くわからない。」
と俺が言うと、
「さよか、それもそうやな。まだ、能力だしてへんしぃ。よっし、まだ続けるぞ。」
と言った。
出してないなら、わかるわけないな。
しばらく、何回かマサが動くたびに俺は能力を発動することを繰り返したが、マサが能力を出す様子はない。
「ぼちぼち、サンから攻撃してきてええで。」
とマサは俺に言った。
「わかった。」
俺は自分の剣を使い、時間、能力で先程とは違う、あえて、マサが逃げれないようにマサのジャンプしたタイミングでマサの下に入り込んだ。ジャンプから着地する時にとどめを刺す作戦だ。
すると、元の時間に戻った瞬間。
「ほほーん。よぉ考えたな。」
とマサは言って、俺が、下に降りてくると思ったらそのときマサはより上に高く飛んだ。
そして、俺が真下にいることを確認するや否や俺を覆い被るように降下し、なぜか、少し太く見える腕で俺の腹部を殴った。
痛みを感じないため、殴られた直後に気づかなかったが、仮想状態の俺の体は、たったの一撃によってボロボロになっていた。
「ほんで、分かったか?」
と聞いてきた。
俺はピンときていたものがあった。
「身体能力を上げる能力?」
とマサに聞いた。
「ほとんど正解や。せやけど、ちょっとちゃう。わいの能力は体の部位の一部の身体能力を一時的に向上させることができる能力や。
その名も『部位強化』や。この短時間でわかるなんてさすがや。」
とマサは俺の回答に感心した様子であった。
なるほど、確かにそれだったら辻褄が合う。
さっき、俺がマサの下に回り込んでにマサが降りてくると思った瞬間、マサは自分の脚力を強化させて、浮遊時間を伸ばしたんだ。
これが、スリーも勝てない、強い男の能力。
俺は少しこの男の未知数に恐怖を覚えた。
「そんな能力に弱点はあん‥。」
俺なだんだん意識が遠のいていくのを、感じた。
マサが俺の名前を呼んでいる姿を最後に俺は意識を失った。
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