第23話 精神論って何だ
翌日、俺はマサと共に仮想空間に入った。
「今から何をすればいいの?」
と聞く俺に対して、
「俺の推測曰く、サンに能力の意識がないのは、精神の根底まで意識できてへんからや。」
とマサは胡散臭い発言をした。
「精神の根底‥?」
俺はマサに聞き返した。
これは、精神論の話だろうか。俺が正直、最も意味がわからない、俗に言う精神論。
「根性が足りない」とか「努力が足りない」と言っても、「努力」や「根性」とか目に見えない何かに頼っても現実に通用するわけではない。
絶対的な力が全てを支配するはずなのに、精神がなんだかんだとか、それが重要だと信じる奴らを理解できずにいた。
「そうや。能力を意識するには、自分の心の奥底にあるものを理解せなあかん。
それができた時に、ほんまの自分を制御できるはずや。」
とマサは言った。
この人は正気でいっているようだ。
「でも、精神と能力に関係あるのか?」
と俺がマサに尋ねた。
「何を言うとんねん。能力は体の一部や。それができれば、能力の制御の意識ができるはずや。」
と言った。
俺はマサに疑いの目向けた。
「まず、ここに座って目を瞑れ。ほんで、眠るか眠らんかの境目のところに来た時、意識が集中でけたと言うことになるんだ。」
と俺を仮想空間の中で座らせ、目を瞑らせた。
「これはいつまでやるの?」
と俺が聞くと
「精神の根底にいくまでや。しばらく俺は他のとこに行くが、集中してやっといてくれ。」
とそれだけ言い残してマサは仮想室に出ていった。
昨日、俺が感じた嫌な予感は的中した。
この訓練で俺は本当に強くなれるのだろうか。
俺は自分の意識に集中したが、その日は、マサの言っていた精神の根底に入ることはできなかった。
すると、その夜、スリーと話す機会があった。
「マサさんとやれるなんて、最高だね。僕も混ぜて欲しいよ。」
と冗談を飛ばした。
「いや、いまの訓練は本当にやる意味があるのか俺には分からない。今日は一日中、仮想空間で座って目を瞑っていただけだからな。」
と俺はスリーに言った。
「まぁ、そんなに焦んない方がいいと思う。じゃあ、俺から、1つアドバイスしてもいいかな?」
とスリーが言った。
「いいのか?是非お願いしたい。」
と俺が言うと
「精神の根底って思うとやりにくいかもしれないから、自分が最も大切にしている記憶とかを意識すると、いいかもね。」
とスリーは俺に教えてくれた。
「大切にしている記憶‥か。わかった。明日からそれを意識してみる。」
と俺はスリーにお礼を言った。
「最初はみんな通る道だよ。」
とスリーは言ってくれた。
俺は翌日の仮想室での訓練は、昨日スリーに言われた通り、大切な記憶を意識して望んだ。
その日は昨日と違い、意識に集中することはできた。しかし、まだ、精神の根底にたどり着くことはできなかった。
そして、この訓練を初めて3日目。
俺はついに、これまでと違う変化を感じた。そこの空間はなんだか、気持ちが良かった。これが精神の根底にたどり着いたということだろうか。
そこには俺の記憶や好きなものなどが浮かんでいた。すると、その浮かんでいる中で『能力』と書かれたものが浮遊していた。
俺はそこに触れる。すると、はっと、目を開けた。
俺は自分の意識を確認すると同時に、精神の根底に入れたことを喜んだ。
俺はマサの言う精神の根底に入れたことをマサに伝えにいった。
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