第18話 初任務③

そして、俺たち5人は、事件が多発しているというロボリク町に到着した。


「なんか、人あんまいないね。」


と俺が言うと、ミナがここぞとばかりに口を開いた。


「それゃあね。ここは、以前起きた悪者大量到来事件の時に大きな被害をうけたところだもん。その時以来、住む人が激減してるの。

まぁ、見ての通りだけど。」


と流暢に言った。


「お前なんでそんなドヤ顔なの?」


とナオが言った。


するとミナは恥ずかしくなって顔を赤くした。


「なんだと!!」


と赤くなりながら言った。


そんなことを喋っているうちに、事件の多発しているエリアに入った。


その時、残りの2人が


「今から、2、3で分かれようぜ。その方が効率よく探せるだろ。」


と言った。


「いや、無闇に別れない方がいい。相手の力も未知数だろ。」


とナオが反対した。


それにミナも賛同し


「ここはなるべく多人数でいるべきだよ。」


と言った。


「あのさ、俺らは、裏切り者の力なんか必要ないんだよ。もしかしたら、また裏切るかも。」


「あ〜こわいこわい。」


と懲りずに2人は言っている。


「ねぇ、この期に及んでまだ言うの?そもそも、サンは裏切ってなんかないよ。だから、この場にいるんじゃないの?」


とミナが俺のことを再び庇ってくれた。


「あ〜こわい。お前も裏切り者だったりして。」


「とりあえず、俺たちはお前らとは行動しない。」


と言って、2人だけ早々とこの場から去ってしまった。


俺はその様子を見て心配になった。


「おい。いいのか?」


と俺が聞くとミナはかなり怒っているようで


「いいよ、もう。あいつらが勝手に行ったんだから。」


と言った。


すると、ナオが


「もしかして、あいつら‥。帰ろうとしてるかも。」


と突然言い放った。


「えっ。いくらなんでもそれはないだろ。」


と俺がいうと、ナオは目をつぶって首にかけてあったヘッドフォンを耳につけた。


「いや、これは本部に向かっている音だ。」


とヘッドフォンに意識を集中させた。


「そんな音聞こえるか?」


「私にも聴こえないよ。ナオだけ聴こえてるの。」


とミナが言った。


その時、俺はピンときた。


「じゃあ、ナオは音を操る能力とか?」


と俺が聞いたのに対し


「そんな大層なものじゃない。ただ、耳がいいってだけだ。」


とナオは控えめに言った。


「ちょ、ちょ、ちょ。それより、あいつ、2人帰っちゃうけどどうすんの?」


とミナが冷静になったようで、言った。


「追いかけても連れ戻すのきつそうだな。」


と俺が言った。


実際のところ、追いかけるよりも、今任務を遂行することの方が大切である。


「そうだな。仕方ないけど、3人で3体倒すしかなさそうだ。あの2人はきっと、本部に着いたら、受付の人に見つかって報告されるだろう。

俺たちは標的の3体を確保することだけ考えよう。」


とナオが言った。


その瞬間俺は思わず笑ってしまった。

それを見てナオは困ったようで


「何がおかしい?」


と言った。


「いや、今日は結構話すじゃん。」


「当たり前だろ。任務なんだから。」


とナオは冷静に答えた。

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