第5話 下剋上チャンス

入団テストを終えた俺はヒロとともに本部長の元へいった。


「おめでとう、サンくん。君も晴れて、グレーボーダーのメンバーだ。」


と本部長は優しく向かいれた。


「君にはまだ、グレーボーダーの詳細を説明していなかったと思う。今からその説明をしよう。

まず、グレーボーダーは政府の本部によって配属されているのは知ってるね?」


「人気ないんですよね。」


と俺がいうと本部長は大声で笑った。


「おまえ、普通それいうか?」とヒロも笑っている。


「そうか。そこも知ってるんだね。では、

話を戻すが、グレーボーダーも含めて政府全ての隊員にランクがある。

全部でS、A、B、Fランクの4つに分けられる。

このランクは一人一人が持つポイントとランク大会の成績で決められることが多い。

ちなみに君の今のランクは、Fランクの2351位だ。ここから上位を目指してもらいたい。ランキングが上位になればなるほど、任務が重大でかつ難関そして極秘だったりするから、是非目指して頑張ってほしい。

また、基本的に任務は1人では行わない。

そのためペアを作ってもらう。

ペアは身も心も一心同体でなければいけない。」


「じゃあ、俺、1番強いやつとペアを組みたい。」


すると、本部長は驚いた顔をした。


俺は単純な任務なんかをやるより、より悪者に近づくことができる任務をやりたいと思った。


そのためには、強い人と組むのが1番だ。


「そっか、そっか。君はいい目をしているよ。もし、1番強い人と組みたいならSランクの1位の人と組むべきだね。

まぁ、そうなると君自身もSランクに上がらなければならないんだよ。」


「じゃあ、Sランクにはどうやって上がるんですか?」


「そうだな。ランクは進級試験で上げることができる。その試験は1年に1回ランクを1つずつしか上げれない。

だから、もし君が通常ルートでSランクになるなら最低でも3年はかかる。」


「3年!?流石にそんな時間はかけてらんねぇすよ。」


「たしかに、それだと時間がかかりすぎだ。

そこでだ。特別ルールに『下剋上チャンス』というものがある。

F、B、Aのランクの人はSランクに勝てばその人の順位のSランクになれるというものだ。

しかし、負けると最下位転落、twiceランキングもランクが1つ下がる。」


「twiceランキング…?」


「twiceランキングは先ほども言った、個人のランキングとは別のペアのランキングのことだよ。」


「あと、『下剋上チャンス』はFランク最下位の俺に取って負けてもリスクが小さすぎるんじゃ…?」


「あぁ。そこはしっかり、大きいリスクを背負ってもらう。

元々、最下位の場合は半年間の謹慎だよ。任務の参加も許されない。

安心したかい?」


全然面白くもないのに、本部長は笑った。


「いや、少しびっくりしました。」


すると、ヒロが後ろから


「何?サン。びびってんの?」


と馬鹿にしてきた。びびってなどいない。


ただ、半年も何もできないなんて考えたくもない。


「びびってねぇよ。」鋭くヒロを睨みつけた。


「こらこら。仲良く仲良く。まぁ、とりあえず、サンくんにはランク上げ頑張ってもらいたい。

ちなみに、今Sランクにいる者のほとんどが、下剋上だがな。」


と本部長は言った。


「何か質問はあるか?」


「ないです。」


「じゃあ、健闘を祈る。帰ってもらっていいぞ。」


俺は本部長室を出て行く。その時にヒロが出て行かないで残っているのを横目で感じた。

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