第3話 メンバーになる
「まぁ、サンがグレーボーダーのメンバーになりたいと言ってくれたことだし。とりあえず、今から、本部長のところに行くからついてきて。」
「本部長?」
「本部長はこの、グレーボーダーをまとめている人だよ。」
先程いた部屋を出て、突き当たりの角を曲がると、普通の部屋と比べて少し大きめの扉があった。
ヒロがその扉を開けて、そこに入ると、黒い革張りの大きな椅子に男性が座っていた。すると、本部長らしき男性はこちらに微笑みかけた。
おじさんに笑顔を向けられるのは良い気が全くしない…。
「鶴さん、連れてきましたよ。」
と、ヒロはそう言うと俺を扉より前に押し出した。
「よく連れてきてくれた。ここに来たということは、それなりに覚悟をしているな。
君にはメンバーになって貰うための説明をしよう。」
と本部長が言った瞬間、俺は思わず
「えっ…。俺ってもうメンバーじゃ…。」
と言った。
今、確実に本部長とやらは、なってもらうと言った。
すると、本部長はヒロの方を困った顔をして見た。
「ヒロ!ちゃんと説明したのか!?」
「あ〜。言い忘れてたわ。お前まだメンバーじゃないから。」
ヒロはそう言って笑っていた。
そんなの聞いていない。
勝手に少しメンバーになった気分でいた数秒前の俺が恥ずかしい。
「すまない、ヒロには後で強く注意しておくから、許してくれ。仕方ない。私から説明しよう。まず、君にはメンバーになるために、さっそくだが、明日、入団テストを受けて貰う。そのテストに受かったら正式にメンバーだ。」
全く聞いてないぞ。なのになんだ、あいつはなんであんな呑気な顔してるんだ。
でも、政府の組織に入るのに入りたいという意志だけ入れるわけもないか。
「明日ですか。ちなみに、その入団テストっていうのはどんなものなんですか?」
「すまないが、細かい内容を教えることはできない。基本的には、武術試験で100人受けて3人受かれば多い方だ。力になれなくて申し訳ない。ところで、君の名前を聞いていなかったな。きみの名前は?」
100人中3人という数字を聞いて少し驚いたが、やはり、政府の組織となると厳しい世界であるようだ。
「サンです。」
「そっか、サンくん。明日の試験、精一杯取り組んでくれ。何かあればヒロに聞くといい。少々適当な部分はあるが、腕前はたしかなものがあるから。
ヒロ!しっかりサンくんをサポートしてやれ。」
すると、ヒロはめんどくさそうではありながらもしっかりとこの本部のポーズらしきしぐさをして、
「はい。」
と言った。
俺とヒロは本部長がいた部屋から出た。
するとヒロが俺に話しかけてきた。
「どうだった?鶴さん。」
「鶴さんって本部長だよね?誰かさんと違って、とっても親切だったよ。」
「まぁ、あの人怒るとめっちゃ怖いけどね。」
とニカっとヒロは笑った。
そのあと、俺はこの施設にある、俺が泊まる
部屋をヒロに案内してもらった。
「明日一応、起こしに行くから。明日のためにも早く寝ろよ。」
と、オカンのように言い放ちヒロは部屋から出て行った。
その日は、いろいろなことがありすぎたせいか、ベットに入るなりすぐに眠ってしまった。
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