どこか遠くの誰かの君へ
むらもんた
第1話
私には、SNS上で大切なフォロワーさんがいました。
『いました』というように、過去形で言っていますが、もちろん今でも大切で尊敬しています。
ただ、その方はもうSNSをやっていません。
その方の名前で検索しても、アカウントは出てこないのです。
顔も名前も知らない。
アカウントを消した彼女は、どこか遠くの誰かになってしまったのです。
彼女と私にはある共通点がありました。
それは音声配信アプリで、おすすめのWeb小説を朗読したり、紹介したりすることです。
彼女の音声配信を初めて聴きに行った時、自分がやっていることとかなり近いなと感じた私は、勇気を出して【こんばんは。初見です!】とコメントしました。
すると彼女から意外な反応が返ってきたのです。
「あ! むらもんたさんいらっしゃいませ! 聞きにきてくれたんですか? 私も今度むらもんたさんの配信聞きに行きたいと思ってたんです!」
なんと私のことを知ってくれていたのです。(多分共通のフォロワーさんがいたからだと思う)
しかも私がやっているおすすめ小説の紹介配信のことまで知ってくれていました。
そこから仲良くなるまでに時間はいりませんでした。
Web小説界隈を盛り上げたい!
素晴らしい作品を沢山の方に届けたい!
そしてその中で自分達も楽しんでいきたい!
お互い同じようなことを考えていたのです。
【これからはお互いに協力しながらズッブズブな関係で行きましょう!】
彼女からのメッセージに内心、女性がズッブズブとか言ってるけどどうなん?(笑)
と思いましたが、やりとりを繰り返すうちにその明るさ、面白さ、人柄に惹かれていきました。
それから彼女の配信を何回か聞きにいくうちにいろんなことが分かっていきました。
関西弁で喋るということ。
カラオケが好きだということ。
朗読がとても上手だということ。
絵を描くのが好きだということ。
そして誰にでも分け隔てなく接する姿や明るく元気な彼女の人柄に惹かれ、本当に沢山の方が彼女を好いているということ。
私自身も彼女の配信で沢山の素敵な作品と出会うことができました。
そして沢山の素敵な方達と仲良くすることができました。
そんな中、プライベートが忙しくなってきた私はSNSからしばらく離れることにしました。
落ち着いたらまた戻ってこよう!
そしてまた沢山活動しよう!
私がSNSに帰ってきた時、彼女の姿はSNSにはありませんでした。
みんながすっごく楽しそうにコメント欄でワチャワチャしている、あの大好きな音声配信もやっていませんでした。
とても大切で尊敬していた彼女は、どこか遠くの誰かになってしまっていました。
もう彼女に感謝を伝えることも、いなくなってるんじゃねぇよ! って罵ることも出来ません。
けれど、このカクヨム短編コンテストで受賞することができたなら、どこか遠くの誰かになってしまった彼女に私の想いを伝えることができるかもしれない。
他人頼みで、カッコ悪い夢かもしれないけど、それが今の私の夢です。
〇〇さん。
あなたが繋いでくれた人と人。
人と作品。
その繋がりは今も少しずつ広がって、皆さんのかけがえのない宝物になっています。
〇〇さんに比べたら私なんてまだまだだけど、私も負けてはいられません。
あなたのように沢山の人と人。
人と作品を繋いでいけたらなと思っています。
コンテストのネタにしてゴメンなさい。
〇〇さんと仲の良いフォロワーさんは、これを読んだら怒ってしまうかな。
けどこれ以外にもう、〇〇さんに気持ちを伝える方法がなくて。
でもね、〇〇さんなら「むらもんたさん勝手にネタにしたなぁ! 出演料払ってもらいますよ〜」って笑い飛ばしてくれるんじゃないかなって思っています。
この作品がコミカライズし、どこかであなたが読む。
ズッブズブな私達にピッタリなドラマチックな結末じゃありませんか?
最後に一言だけ言わせてください。
バカヤロウ!
ありがとう!
二言になってしまいました。
どこか遠くの誰かの君へ むらもんた @muramonta
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます