死んだらぬいぐるみになっていたんだが。

karuno104

1章 これが俺とか信じたくない

プロローグ


 人は死んだらどこに行くのか。


 天国。

 地獄。

 生まれ変わり。

 魂なんて存在しない。


 意見は人の数だけある。

 しかし実際はわからないし、わかるはずもない。

 因みに俺は存在しない派。オカルト全否定。宇宙人なら信じる。


 魂なんて信じてはいないが、非科学的なものに憧れはする。

 だから大勢が夢見る〈異世界転生〉にだって興味はあるし、もちろん出来るものなら体験したい。是が非でもやりたい。


 正直言って、現実はつまらない。

 楽しめる物はある。楽しいことも知っている。


 でもつまらない。

 趣味はあっても特技はない。

 なんの才能もない。

 人間としてつまらない。

 二十年間、後悔してばかりの人生。


 生きている意味があるのか、と何度も何度も考えた。

 俺が出す答えはいつも『ない』だ。


 けれど死ぬ理由もなかった。

 ただ、惰性で生きていただけ。

 かっこいい理由でもあればすぐにでも命を差し出すのに、とバカなことを本気で考えていた。






 だから、これはわがままだ。




 こんなことなら死にたくなかった!

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