第4話
「……ここはどこ」
知らない天井を見て、「あ、異世界か」と思い出す。
ここはどこって昨日も言った気がする。気のせいかもしれないけど、
三十秒程何も考えずに寝転がり、いい加減に起きようと思い、膝を折り曲げてから手を使わず頭の頂点を擦りつけ、そのままベッドから落ちる。
一連の行動に特に意味はありません。
カーテンを乱暴に開け、朝の太陽を目一杯浴びる。
地球にいる頃よりも涼しい気がするのは気のせいか、どうでもいいけど太陽が明るい。
太陽って赤よりも黄金があってるよね。
実は太陽を赤って言うのは少数の国だけで、別の国だと金って言うのを思い出した。
こっちの世界だとなんて言うんだろうね。
……。
「……今、何考えてたっけ」
しょぼしょぼした目をしながら呟いた。。
「これから君達の戦闘の技術を教える『
ここは、お城から少しだけ歩いたところにある兵士達の訓練場、学校の校庭二個分くらいある広さ、私達はその端っこで熊のようにでかい天飛さんの話を聞く。
天飛さんの着ている甲冑は重そうだし暑そうだし、一生着たくない服だ。服じゃないけど。
私達の服は赤いジャージのような衣装を着ている。
持ってきていた服が制服だけというのもあり、朝にメイドさん達が私服から下着、訓練などに使う服まで用意してくれた。
ジャージのようなとは言ったけれど、チャックとかはなくそのまま着るような感じで、長袖長ズボンの体操服みたいだ。しかも動きやすさはこっちの方がいいかもしれない。
「早速だが、皆には【能力】を確認させてもらう、この水晶に手を乗せると文字が浮かび上がる」
天飛さんは占い師とかが持ってそうな水晶を手に持ってる。一瞬そういう戦闘スタイルなのかと思った。
甲冑なのに魔女っぽいって……逆にありなのかもしれない。
「あ、あの!それ、私からやってもよろしいでしょうか!」
一番前の列、小山内さんが大きく声と手を上げる。
私はたまたま後ろの方にいたので、小さな手だけがひらひら見える。
「おう嬢ちゃん。もうちっと説明したかったが、まぁ説明するより見てもらった方がいいだろう。そこに掌を乗せて」
「こ、こうですか?」
「そう、後十秒くらい……いや、案外早く終わったな」
そういうと、私達はワッと小山内さんに近寄り、その真珠に浮き出た白い文字を見る。
「……ん?こころ、【
「その能力、見たことあるぞ?確か、こころの……」
「わっ、わわー!なんか凄そうですね!ほら!次!次の人誰か!そうだ!先生とかどうですか!」
「わ、私が?」
「……あぁ、なるほど。そうだな、人数も多いしじゃんじゃんやってくれ。ただ、記録を取りたいから一人ずつお願いだ。それと、嬢ちゃん、名前は?」
「え、えーと私は小山な……」
小山内さんと天飛さんの目が合い、そのままお互い黙る。
かと思えば、小山内さんの首が大きく縦に頷かれる。
「小山内、玉萌です……」
「うん、ありがとう。さて次は大人か。先生さん、水晶に手を乗せてくれ」
「私の名前は
「おっと、冗談だ冗談だ、悪いね。出来ればみんなも水晶に手を乗せる前は自分の名前を言ってくれよな」
そんな話を半ば無視ししながら先生は水晶に手を乗せる。
私はちゃっかり前の方に移動し、水晶の文字が良く見える場所に移動する。
小山内さんとは少し違い、二十秒くらい経ちやっと水晶に文字が現れる。
「【
「よじ……?まぁ、能力名は全部四文字の漢字で出来ているな」
「……そうか。ちなみに効果は?」
「残念ながらその能力は見たことが無い、火とか水とか書いてあればおおよそ予想できるが、そういうのが全く書いていないとなると身体強化だったりと分かりにくい効果ばっかりだが、割と強い効果が期待できるぞ」
「そうですか……なんか実感が沸かない。この四字熟語の意味しってる人いないか?」
クラスメイトの方に顔を向けるが、首に横を振る人が多数だ。
ちなみに私も何も知らない、師勝資強?さっきの心玉覚利も全く聞いたことないし、マイナー四字熟語なのか、あっちの世界でもないやつなのか、まぁとにかく、私は知らない。
「じゃあ次は俺が行ってみるよ」
「マジでー、じゃあ次は俺行くわ!銀子も響もこい!」
「えっ!そんな急に!銀子どうする!」
「まぁいつでも良かったし、私はいいよ」
火南が前に出て、それに付いていく翼、それに巻き込まれる私と響。
幼馴染で仲良く四人、いつもの流れだ。
最近本気で思ってるけど、この子達との付き合いを改めて考えたい。
別世界に来たし、ちょうどいいのかもしれない。
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