第2話
「ようこそ、異世界の皆様」
突然声が聞こえたかと思うと、仮面を着けた人達が左右に開き、その真ん中に一人のおじさんが堂々と歩いている。
恰好はまんまローマ教皇みたいな感じで、白い服装に金色の装飾がいっぱいの帽子、十字架のブレスレットに身長の三分の二もあるでかい杖。
昔、どうしてそんなに派手な見た目をしているんだと思ったことがあるが、なんとなく、一目見て「偉い人」だと思わせるのが大事なのかもしれない。
「こんな所で話しても仕方ない、さあ、どうぞこちらへ」
「ちょっと待ってください」
先生が立ち上がり、教皇らしき人に話しかける。
「ここはいったい何処ですか?私達は教室にいたはず、いったい、なにを」
「貴方が聞きたいことは分かっています。ですが、立ち話するよりも座りながら話す方が楽でしょう?」
「こんな状況で見ず知らずの誰かに付いていく馬鹿がいます?一度納得させる何かをください」
目が鋭い、声が重たい、誰が見ても怒ってるって分かるくらい怒ってる。
チラッとクラスメイトの見て見ると、口が空いたまま先生を見てる人が大半で、誰もが何が起きているか分からないと言った表情だ。
それはそうだ、だから先生がこうやって怒っているんだ。
「……そうですか、ならまずは貴方を納得させましょう」
教皇は少しめんどくさそうな声色でそう言った。
「この世界の人類は滅亡の危機にあります。先日、大昔に人類を滅亡まで追いやった魔王が復活したのです。貴方達は魔王がなんなのかすら分からないと思いますが、世界を自分の物とする悪の根源、奪う物を奪い、命ある者を殺す。そんな極悪非道な人物であります。既にいくつかの国も壊された時、もう我々は異なる世界から才能ある者を呼ぶしかないと思ったのです」
「それが私達を呼び出した理由?馬鹿馬鹿しいにも程があるし、もしも、もしもその話があっていたとしても自分達の世界なんだから私達を呼ぶなよ」
ガチキレしてる先生を見ていたらだんだんと思考が冷静になっていく。
「いくら貴方達がやってることはただの誘拐だ。さっさと私達を元の世界に戻せ」
「そんなこと出来ませんよ、この儀式にどれだけ犠牲がでたか……」
「私のクラスは四十人、私と副担任も来てるから合計四十二人も犠牲に晒されているが?」
「それだけ我々が危険な状態なのです。貴方には分からないと思います。種族が滅亡する恐怖を」
「どうでもいい、早く私達を元の世界に返せ」
教皇の口が止まる。
私も一つも信じてないけど、流石に人類滅亡の危機と言っているのにそれを「どうでもいい」と切り捨てられるとは思わなかったのだろう。
「……そうですか。ですが、貴方達を元の世界に戻すことは現状不可能だ」
「どういうことだ」
「ここに呼び出す魔法は作ったが、送り返す魔法は全く出来ていないということだ」
「……さっきから魔法だとか魔王だとか滅亡だとか、デタラメを言うのはやめてくれません?」
「全て本当ですよ……あぁ、そうか。魔法を知らない民でしたか」
教皇は左掌をうえに向けて「『ファイア』」と呟いた。
すると、ありえないことに左手から見事に炎を出してみせた。
クラスの中から声を漏らす音が聞こえた。
ここまでは、マジック程度。
「『ゴーレム』『氷結界』」
ここからは、未知の世界だった。
教皇と先生の丁度間、そこに全長三メートルくらいの、人型ロボットのような、四角い無機質な人間、とりあえず、そんな『何か』が出てきた。
驚く暇もなく、そのロボットみたいなやつは半透明の何かに閉じ込められる。
冷気がここまで届いてやっとそれが氷だと知った。
「『爆炎』」
驚くのも束の間。
教皇が己の杖をロボットに向けそう言うと、まるで太陽のような、真っ赤な球形の炎が氷に包まれたロボットを包み込んだ。
クラスのみんなからは、驚く声や悲鳴や、あれはなんだと疑問声などなど、のそんなの声が上がった。
私は、呆然としていた。
十秒もすれば、それは終わり、氷も、ロボットも、跡形もなく消えていた。
ただ、床には先程の炎で煤けた跡があり、それが妙に生々しく、私達に『魔法』というものを理解させるのに十分だった。
「……チッ」
先生は露骨な舌打ちをし、眉間には皺が寄り、右手には握り拳を強く作りすぎたせいか血が少し垂れた。
一度、深呼吸したと思うと「獅子山先生、こっちに来てください」と副担任を呼び出した。
小さな声で話し合う、その姿を教皇は不機嫌そうに黙って見詰めており、クラスメイト達は、何人かは仲のいい人達で集まって「これやばくない?」と今更危機感を感じているようだ。
「ねぇねぇ銀子、これやばくない?」
響も全く同じことを言いながら心配そうな顔で私に近づいてきた。
「うん、そうだね」
「えー、銀子はそう見えないよ。なんかさっぱりしてる」
「普段あんまり怒らない先生が怒っているのを見たら、なんか段々と落ち着いてきて。ほら、あるじゃん。身近な人が号泣してたり爆笑してたりすると冷める時」
「あー、ねっ」
その反応分かってないでしょ。
「おい、お前たち!」
先生達が話し合いから終わったのか、私達の方向に向き、私達クラスメイトは話すのをやめた。
一瞬だけ私と目が合い、先生が小さく頷いた。
「今ここで何が起きてるか分からない人が多いかも知れない、というか、全員分からないだろう。先生達も正直分からない。だからこそ、一度この人達から話を聞くことから始める。
一度、誰がここにいるか、誰がいないかを確認するために点呼を取る。
「は、はい!」
先生は一人ずつゆっくりとクラスメイトの名前を呼んだ。
こんな状況になっても、先生は先生として過ごすのだろう。
「……やはり、何人かいないか」
全員の名前を呼んだが、何人か返事は返ってこなかった。
「終わりましたか?」
「いえ、何人かここにいない。もう一度点呼を」
「おそらく、あちらの世界で魔法陣の外に出たり、または入らなかった者達でしょう。その場合、あちらの世界にいると思いますよ」
「そう、ですか」
先生の顔に一瞬安堵が浮かんだ。
「それでは、そろそろ詳しい説明などをします。どうぞこちらへ」
教皇が一人前に歩き部屋の外に向かう。
私達は慌てて立ちあがりそのままついていく。
道中に壁が一切ない渡り廊下があり、そこから街の景色が見えた。
ここから見える景色は正直遠くてあまり見えないが、木造建築が一切なく、白と赤色で統一された建物。人々の無地で質素な服、日本らしさがまるで見えない街の景色に少し恐怖を覚えた。
「凄い綺麗!なんかオレンジ色の屋根の世界遺産とかあったよね!あれに似てる!ねぇ
「あー、あれね。この前テレビでみたやつね。
「ドゥブロブニク、かな。確かに色は違うけど似ている」
「あ!それかも!なんか濁点が多い奴!」
「濁点が多い……まぁこれを機に覚えるといいよ」
酷い覚え方に獅子山先生も困惑している。
「綺麗だな、銀子」
「そうだね」
火南が話しかけてきたので私も返す。
確かに、見た目はとても綺麗だ。統一された物は妙に引き付けられる物がある。
「……大丈夫か?銀子、なんかボーっとしてるというか」
「え、そうかな?」
「確かに、さっき話した時も淡々としてたし!」
「具合悪いのか?」
響も翼も会話に加わる。心配してくれるのは嬉しいけど、自分には身に覚えがないから困惑する。
「どうした速水、具合悪いのか」
会話が聞こえたのか、先生が心配しにきてくれた。
少し焦ったような優しい声色に胸がときめく。
ちょろいなぁ、私。
「一応大丈夫ですけど……うん、多分自分でも気づいてないくらい疲れたのかもしれないです。思考が追い付かないというかなんというか」
「そうか……まぁそうなるのも仕方ない。辛くなったらすぐ言ってくれ」
「はい、分かりました」
淡々と業務連絡のように話す。そう意識しないと、うっかり先生と付き合ってることがバレてしまうかもしれない。
別に話すだけじゃバレないと思うけど、念のため。
「……え?」
「
「な、ななななんでもないよ!?
「え、いや私は大丈夫だけど……本当に大丈夫?」
「せんせー、玉萌たまもちゃんの顔が赤いでーす」
「
「ひうっ、ぜんぜんぜん大丈夫ですよ!その、えっと、ごめんなさい!」
「え、なんで私謝られたの」
確かに、小山内さんの顔は真っ赤っかだ。
突然の熱が出たわけでもなさそうだけど、どうしたんだろう。
「まぁ……よく分からないが、辛かったら絶対言ってくれ」
「は、はい!先生もご無事でぇ!」
「?」
そんなことを話していたら、ようやく部屋に着いたようで、中に入ると大きくて丸い円形の机が一つあった。
教皇が「ここに座ってください」と言ったのでクラス全員座る。
この人が喋ると一気に空気が重くなるのどうにかならないかな。
「あぁ、申し訳ない。椅子が足りませんね、少しお待ちを」
言われた通り少し待つと、扉からノック音が鳴る。入ってきたのはティーカップを持ったメイドさんだった。
……え、メイドさん?本物?
ドラマで見るような白と黒の衣装、ここまではなんとなく理解できるが、髪の毛が青かったり赤かったりしていて、奇抜だ。
原宿でならよく見るけど、ここまで多様なのは見てて驚いた。
「すげぇ、メイドだ」「俺初めて見るよ」「お店で見たものよりも綺麗だ」
男子たちが一気に湧いた、嫌な空気になったなぁ。
と言っても、私も実物は初めてなので少し食い入るように見てしまった。
「何をお飲みになりますか?」と言ってきたが、そもそもこの世界にお茶はあるのか、オレンジジュースは伝わるのか、そんなことを思いながら「適当にお願いします」と言った。
「椅子が足りない、すぐに追加を」
「かしこまりました、すぐに持ってきますので少々お待ちを」
しっかりしたメイドさん達だ、偏見で「ご主人さま~♡どうされました?私わかんないです~♡」みたいなのを思っていたけど、認識を改め直した方がいいかもしれない。
けど、男子のメイドに対する思いは割と予想道りだった。
「ちなみにこれ、なんていう飲み物ですか?」
「これは『ユーポン』という甘い飲み物です、この世界では万人が好む飲み物ですね。甘いのは大丈夫でしょうか」
「多分大丈夫かと思います、けど」
そう言うが、カップの中身は真っ赤っか。
血みたい、という訳ではないが、なんというか少し恐怖を感じる。
だが、注いで貰ったのに飲まないのは無礼かと思ったので、一呼吸してからカップに口を付ける。
「……お?甘い、けど、口に残らない、さっぱり?」
すっぱい感じもしない、甘さだけに特化していて、でもさっぱり。不思議な味だ。
「お気に召しましたか?」
「はい、意外と。めちゃくちゃ美味しいです」
「光栄です」
淡々と、それでも少し嬉しそうに頭を下げた。
一瞬先生の方を見ると、カップを凝視して固まっていた。
椅子も人数分揃い、やっと話が始まるようだ。
教皇の他にも何人か後ろに人がいて、緊迫としている空間に再び。けれど、それだけ大事な話であり、誰一人口を挟もうとする人はいなかった。
話が思ったより長引いたのと、先生と話していた所もあったので大事な所をまとめてみた。
・この世界は主に人間と魔人と獣人で分かれており、人間と魔人は数百年前からずっと争っている。獣人は人間族と共存したり魔人と共存したりと分かれている。
・魔王を倒すために私達の力が欲しい。
・もちろん、これは戦争なので死ぬ可能性もある。
・今の所、元の世界に戻る手立てはない、元に世界の人と会えない。が、戻す努力はするらしい。
・戦わないという選択肢は全くないと思った方がいい。遅くても一年ほどで手を打たないと人類は滅び、それに巻き添えにされる。
途中で泣き出してしまう人がいた。
途中で怒号を飛ばした者もいた。
だが、それらを全て無視し教皇は話を進めた。
私達を呼ぶのにどれだけの労力を掛けたのか、許すつもりはないし同情をするつもりもないけれど、その顔は、その感情はなんなんだろう。
「ここまで話しましたが、質問などはございますでしょうか」
「一つ質問してもいいですか」
いままでずっと黙っていた
一年の最初に、左の目が髪の毛で隠れてるけど見えるの?と一度だけ話した気がするけど、それくらい喋らない彼が自分から話すなんて珍しい。
「僕達には何も特別な能力はありませんよ。剣も持ったことも無ければ魔法なんてそもそも存在しない世界で生まれた。わざわざ異世界から呼び出しておいて兵の数合わせにでもするんですか?」
「それについてはなにも問題ありません。ですが、それは明日お話します。皆さんもお疲れでしょうし、心の整理もあります。よろしいですか?」
「そうですか、それは失礼しました」
そう聞いた瞬間、クラスメイトの半分がホッとした声を漏らした。
割と長い会話に飽き飽きしていたんだろう、割と深いため息まで聞こえてきた。
「他になに……ありませんね。先程も述べた通り、明日も話がありますので、今日はゆっくりと休んでください。私は席を外しますので、後はお願いします」
教皇はゆっくりと席を外し、一人ドアの外に出て行った。
パタンとドアが閉まる音と共に一人のメイドさんが立ち上がる。
「皆さん長時間お疲れ様です、今から皆さまが泊まる部屋、そして、侍女の軽く説明をさせていただきます。まずは侍女ですが……」
メイドさん、いや、侍女さんと言った方がいいだろうか。
その人が言うには、これから多忙が続くだろうから一人につき最低一人の侍女が生活の手伝いをしてくれるらしい。
誰が誰に付くか、それを決めるらしい。
「ここで全員決めてしまおうと思いましたが、何せ人数が多い。なので、まずは女性だけ先に決めて、部屋に案内しようと思います。男性方は申し訳ありませんが少しお待ちください。何かご質問は」
「侍女さんのことをメイドって呼んでもよろしいですか」
「メイド……ですか?別に構いませんが……」
男子が盛り上がる。それ見て割と引いてる私。
「お前ら、くだらない話はやめておけ。それと、彼女たちに手をだしたら許さないからな」
「大丈夫っすよ!先生!」
絶対危ない、逃げてメイドさん。
「時間も惜しいので先に進めちゃいますね。貴方達、もう入ってもよろしいですよ」
メイドさんがそう言うと、部屋に三十人ほどメイドが入ってきた。
「それでは女性の方、適当に選んでください」
適当すぎないですか?
「えー、じゃああたしこの子で」
竜子が金髪のメイドを選んだ、それに続くように他の皆も一斉に選ぶ。
先生はどんな人選んだろうと少し見ると、後ろの方で腕を組んで待っていた。
「先生は選びにいかないんですか」
「正直どうでもいい。洗濯とかしてくれるって思うとありがたいが、それが誰かなんてどうでもいいだろ」
「あはは、先生洗濯とかしないですもんね」
「しないというか……私が週末に一気にしていた洗い物や洗濯とか、そういうの全部お前が平日に遊びに来て全部やるだろ。というか、みんながいる所でこの話はするな」
「はいはい、じゃあ適当に選んできますね。嫉妬しないでくださいね」
「お前もな」
お前もな、って。私をなんだと思ってるんだろう。
本当はもう少し話したかったけれど、我儘も言ってしまっては先生も困るだろう。
私はユーポンを注いでくれた青い髪の毛のメイドさんにした。
「私の名前は
「はい、えーと、速水銀子です。よろしくお願いします」
「早速ですが、お部屋のご案内をさせていただきます」
適当に自己紹介をして、私は世呱々さんに連れられて再び城内を歩く。
「あの、勝手ながら質問をしてもよろしいでしょうか」
「ん?うん」
「銀子様の世界とはどのような世界なのでしょうか」
「お、おーいぇー銀子様呼びか、慣れない」
世呱々さんが首を傾げる。気にしなくていいよ。
しかし、どのような世界?
「うーん、難しいな。でも、さっき角寺君が言っていたやつだと、魔法がないっていうのが適切かな」
「魔法がない……信じられません。光はどうやって照らしているのですか?」
「え、電気」
「でん、それは雷?」
「あーうん、似てる。だいたいあってる。というか、例えばこの上にある光っているやつは魔法?」
「一応、魔道具という物ではありますが、まぁ魔法と言われればそうですね」
「あはは、もしかしたらこっちの世界の物とか色々持ってくれば……あっ!」
私は胸ポケットの中にあるスマホを取り出して電源を付ける。
よかった、一応壊れたりはしてなさそうだ、しかし右上に書かれた『圏外』という文字を見て親や元の世界の人の連絡が取れないことに今一度確認して一瞬だけ心が重くなる。
「銀子様、それは?」
「スマホ、超便利機器。例えば―――」
私は右にスワイプしてカメラを開く。内カメラにして世呱々さんにカメラを入るよう調整する。
「それは……?私がもう一人いる?」
「笑って笑ってー、はいチーズ」
パシャッと音が鳴り、世呱々さんに撮った写真を見せる。
「これは……凄い、私と銀子様がいる」
「写真だよ、この世界にない?」
「はい、私の記憶にはこのような物はないですね」
「そっか、まぁ…………うん!こういう世界かな、化学とか機械で魔法以上のことをする世界。魔法以上かは分からないけど」
「凄いです!かがく!きかい!銀子様、もっと教えてください!……と、まずはお部屋に案内ですね」
世呱々さんは少し顔を赤くして頬を掻く。こういう表情、先生もしてくれないかな。解釈違いだけど。
少しお喋りをしすぎたが、自分の部屋にやっときた。
少し広いホテルみたいなお部屋、トイレとシャワールームが一緒で、ちょっと大きなベッドルーム、一応棚とか机とかあって、それ以外は何もない部屋。
ちなみに、トイレは日本の世界でいう所の和式トイレみたいなやつで、ボタンを押すと魔法が感知して水が流れる仕組みらしい。
同様にシャワーもそうで、温かいお湯が出てきてくれる。
ただ、温度の設定が出来ないのが難点でもある。
先生なら「どうでもいい」っていいそうだけど。
「お城の大まかな部屋割りをご説明させていただきます、温泉が一階にありますので、訓練でお疲れでしたりシャワールームが嫌でしたらそこをお使いください。それと、食事ですが二階に食堂があります。大勢のご友人と食べたかったりしたかったらそこで食べてもいいのですが、一人で部屋で食べたいというときは、私共に一声掛けてください。食堂から料理を運んできます」
「そうですか……あの、先生の部屋は分かりますか?」
「先生?」
「
「そうですね、うーん……今、部屋を決めている最中なので、今は分かりませんね。よろしければ、今から私が探してきましょうか?」
「いや、別にだいじょ……あ、そうだ。じゃあ先生の部屋は私が探すから、世呱々さんはご飯を持ってきてください」
「かしこまりました。それと、もう一つ」
世呱々さんが一つの紙を渡してくる。
「これはこのお城のマップです、部屋を探す参考になっていただければ」
「何から何までありがとうございます、世呱々さん」
「いえいえ、これが仕事なので。もっと頼ってくださいませ。それでは、行ってまいります」
そう言って、世呱々さんは外に行った。
そういえば、私が先生の部屋に行ったら、世呱々さんは誰もいない部屋にご飯を持ってくることになるのかな。
まぁいっか、先生の所に行こ。
もうそれしか考えられない、先生、早く会いたい。
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