第27話 後悔してもしきれない分岐点



 目が覚めた私はおそらく錯乱していたのでしょう。

 よりにもよって魔王を頼るなんて。


 国の姫として失格でした。

 しかし他に良い考えがあったかと思い返すと、そうでもないので困ってしまいます。


 目覚めた時の私は、それが良いアイデアの様に思えてならなかったのですから

 だから私は、これまでの事と、いかに勇者様が邪悪な存在か話してみました。


 きっと勇者様は、とんでもない事をしでかすつもりだったに違いありません。


「勇者様は、私の手足を切り落として氷漬けにして、幽閉するつもりなんです!」

「なっ、なんだ、と。聖女だぞ! 己の切り札に対して何というぞんざいな扱いをっ」

「それに勇者様は、第二の魔王となって、魔族も人間も等しく滅ぼしてしまおうと考えているかもしれないのです」

「そっ、そんな事がっ! やつは同胞も手にかけるというのかっ!」

「それだけでなく、勇者様はこの城で働く者達を皆殺しにしてしまうつもりです!」

「くっ、なんと卑劣なっ! 勇者めっ!」


 魔王様は意外に純粋でした。


 おかしいです。

 イメージと違ってます。


 これまで培ってきたイメージは一体何だったのでしょうか。


 とりあえず、魔王様は私の話を信じてくれるようでした。


 今までは魔王というだけで問答無用で邪悪な存在だと思っていました。けれど勘違いしていたのかもしれません。


 そういえば同じような事を、他の方に対して考えたことがあるような気がします。


 一体いつの事だったでしょうか。


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