第26話 魔王に拾われてしまいました



 それから、どれくらい時間が経ったのでしょう。


 目を覚ました私の目の前にいたのは、魔王でした。


 私を閉じ込めた、あの魔王。


 見回せば、私がいる場所は魔王城の牢屋でした。


 こちらを見下ろす魔王は邪悪な笑みを浮かべています。


 魔王が生きていた?


 勇者様に倒されたはずなのに?


 一体どうして。


 混乱する私に魔王は、喋りかけてきます。


「くくくっ、魔王は核をつぶすか浄化せねば死なぬのだ。復活した俺に見つかるとは運が悪かったな。何があったか知らないが、この堅牢な地下には誰もたどりつけまい。おとなしくここで閉じ込められていろ」


 普通だったら恐ろしくて震え上がるところだったでしょう。


 けれど、私はその時はそう言うしかないと思ったのです。


 思えば、魔王は命まではとらなかったのだから。


「助けてください魔王、いえ魔王様。というかむしろ私をここに置いてください。勇者様に命を狙われてるんです!」

「えっ?」


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