第21話 正気度が疑われるダンジョン



 元の部屋。ダンジョンの最奥に戻ってくると、目の前のに分厚い扉が現れました。

 行きにはなかった(部屋から出るときに扉を閉めた際は普通のドアだった)ので、私が出た後に作ったのでしょう。


 その扉には、何やらいくつもの文字盤の様な物がくっついてました。


 表面を見ると、長文の文字が書いてあります。


 これは一体なんでしょうか。


 首を傾げていると、隣を歩いていたアルト様が「ちょっと待っていて下さい」と一歩前へ。


 そして、文字盤の様な物を一文字ずつ叩いていきました。


「あの、アルト様。これは一体?」

「ああ、これはこのダンジョ。いえ建物の防犯設備です」


 今、ダンジョンって言いかけませんでしたか?

 やはり、普通ではないところに私を監禁しているという自覚はあるのですね。


「謎をといて正しい答えを示さないと、この先へは進めないようになっているんですよ」


 謎解き要素もあるんですか。


 解読できない文字なので、(はるか昔に使われていた言語)古代語でつづられているようです。

 古代語は勉強していないので私にはどうしたって読めません。


「内側にも取り付けられています」


 それは、外からの侵入を防止するというよりは、中からの脱出を防止するためのもののような。


 防犯設備というには無理があるのでは?


「どうしたんですかクリスティーゼ姫、そんな疑わしい物を見る様な目になって」


 やっと気が付いてくれましたか。

 それとも、とっくの昔に気が付いていたけれど、やっと指摘してくれるようになったのでしょうか。


 はい、その通りです。私は勇者様の正気を疑ってます。


 だから正直に目的を吐いてくださいと、あれほど言っているではありませんか。


「あの、この仕掛けだけでは十分に侵入者を防ぐ事ができないのでは?」

「ご安心を部屋の外壁は全て特別な鉱石で作られているため、ドラゴンが暴れたって壊す事はできませんよ」


 めまいがした。

 聞かなければ良かった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る