第20話 魔物はびこるダンジョン
散歩が終わり、帰路についていると、ときおり人外の存在が目に入ってきます。
「ゴォォォ!」
「フシュゥゥゥ!」
「グルルルゥッ!」
オブラートに包んだ表現をしてしまいましたが、誤魔化しがきかなくなってきたので、正直に申し上げるとそれは魔物です。
オークやゴブリンやゴーレムなどが徘徊しています。
彼等は鼻息荒くしながら、人間である私達に敵意のこもった瞳を向けてきていました。
でも、襲い掛かってはきません。
視線を投げつけてくるだけです。
「あの、勇者様。ときどき建物の中を徘徊しているあれは、何でしょう」
とりあえず幻だという線もある。本物の魔物だとは思いたくないので、否定したい思いでアルト様に問いかけました。
しかし、非情です。勇者様が。
「あはは、クリスティーゼ様、魔王城でも見ませんでしたか? あれは魔物ですよ。姫はお茶目なんですね」
面白い事を言ったつもりはありませんんし、お茶目でも何でもありません。
現実を直視したくなかったからあえて聞いたんですっ!
「どっ、どうしてモンスターがダンジョン内にいらっしゃるの?」
「大丈夫ですよ姫。勇者である俺が常に一緒にいるので、襲われたりしません」
「そうなんですか」
聞いたのはそういう事じゃない。
本当にどうやって連れてきたのだろう。
この辺りにいるモンスターを適当に集めたわけではないらしい。
地元の地域に住み付かない、特異なモンスターも見かけるので、どうにかして連れてきたのでしょうが。想像できません。
脱出がまた難しくなってしまいました。
これは、勇者様の傍を離れられないという事ですよね。
いつまで私を監視してるつもりなんですか?
期限ってあるんですか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます