第17話 まったく弾まない会話



 私、いま、勇者様の居城に閉じ込められています。


 信じられないですよね。

 魔王でも、政治の敵でもない、勇者様にです。


 何が起こったかと思われる方が多いでしょう。

 でも、これは、まぎれもない事実なんです。


 ほら。


「姫、気分はいかがかな」


 これが勇者様です。


「姫、私と一緒にご飯をたべましょう」


 まったく私の返事を聞いてません。


「姫、私とお話してくださいませんか」


 そして、幸せそうにずっと勇者様だけ喋ってます。


 おかしさのあまり、少し笑いだしそうになってしまう。

 いけませんね。私は姫なのに。


 この方は、最近の私の不幸の元凶です。

 目の前には何を企んでいるのか分からない勇者様のお顔。


 整った美形ですけれど、私はその顔を見て震えあがってしまいます。


 だって、この人、何考えてるのか分からないんですもの。


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