第6話 勇者様に囚われてしまいました



 そんな生活が半年続いた後、勇者様が助けに来てくださいました。


 勇者様の剣によって、倒れた魔王。

 邪悪の元から、私は解放されたのです。


 助け出された私は聖なる力を使って、魔王を浄化しました。


 世界は救われたのです。


 何もできなかった私が、こんな大仕事をこなした。


 やっと、お姉さま達と一緒に並び立てる気がしました。


 囚われの身ではなくなった解放感も余って、私はつい余計な事を口走ってしまいました。


「ずっと前からお慕いしていました」


 勇者様にいきおいあまって告白してしまったのです。


 そうしたらあれよあれよと言う間に、また連れ去られてしまいました。


 勇者様に、です。


 そして、(みかけ上は)溺愛される事になります。


 まさかあの勇者様が、選ばれた勇者様が、偉大なる救世主様が。

 特別な力を授かるまで大して目立つ事も、期待される事もなかった私を本当に好きだったはずはありません。


 恋に至るほどの思い出も何もなかったのですから。


 なのに、どうしてこんな事になったのでしょう。


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