第5話 囚われの生活



 魔王城の中に囚われた私は、毎日が不安でいっぱいでした。


 聖なる力は魔王に有効らしいため、殺される事はありません。


 しかし、嫌がらせはされます。


 少ない食べ物に、罵詈雑言、害獣や害虫の出る劣悪な住環境。


 生まれてから一度も王宮から出た事のない私には、それらがとても堪えるものでした。


 ネロが一緒にいてくれなければ、私はとっくに昔に心を壊していたでしょう。


 けれど、私の巻き添えになって攫われてしまったネロに申し訳がない思いをします。


 魔王に攫われれる時、私が手をのばしたから、その手を掴んだネロまでが。


 ネロは「気にしなくてよいのです。こんな大変な時におそばにいられた事は光栄です」と言ってくれるけれど。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る