第2話 魔王の復活



 そんなある時、魔王が復活してしまいました。


 昔、神話の時代に勇者が封じたという存在。

 邪悪な生命、魔王です。

 それが、何かのきっかけで、自由になってしまったそう。


 魔王は、各地にいる悪しき生物(魔物を率いて)人々の世界を脅かしていきます。

 その影響で、平和だった国は荒れ、人々の生活は苦しくなっていきました。 


 徴兵のために男達が町中から消えて、武器の製造のために貴重な鉱物が町のお店から消えてしまったから。


 これまでとは一転してアルケミシア王国は、魔王復活の脅威という暗い影を背負う事になりました。


 ネロの実家も、そのあおりをうけて、没落してしまったと聞きます。


 一地方を収める彼女の両親は、領主であったけれど、他の領主に統治の権利を譲り渡してしまったらしいです。


 その事が原因でネロは「このような自分は姫様にはふさわしくありません」と、私の元を去ろうとしました。


 しかし、私は彼女を「そんな事気にしないわ。それにお金が必要でしょう? ここで働けばお給料はちゃんと出るから」と引きとめたのです。


 仲が良かったネロにいなくなられたら困る。


 そんな打算がありました。


「ありがとうございます姫様。やはり、姫様にはお姉様達にはない優しさがありますね」


 だから、私に向かって感謝するネロの言葉が心苦しかった。

 だからこんな事を考えている私に、出来る事などないのだと思いました。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る