チャンス

ここに来てから,どれくらいがたっただろうか。

弟は一切笑わなくなり,俺は頭を弄られて常に頭痛に襲われるようになった。


あぁ...このまま,俺達は化物にされてしまうんだ。


絶望していたその時だ。

外から,何かが崩れる音がする。

「相変わらず...ここは,酷い環境だね。」

「あはっ♪ねーぇっ?ここにいる科学者,全員殺っていーい?」

「忘れないでください。私達は実験台にされた人達を助けに来たんですから。」

数人の男女の声。

建物が崩れていく。

今のうちに逃げろということなのだろうか。

「......ブラン。逃げよう。」

やっとの思いで立ち上がり,ブランに手を差し伸べる。

「うん...」

彼は手を取り,泣きそうな顔で笑った。

前のような純粋な笑顔。


崩れ,燃える世界の中。


俺達は


研究所から逃走した。

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