5-2.暖炉のある部屋で

『氷のような部屋で抱き合い、互いの熱で溶かし合う』


先生がお手洗いに駆け込んで、散らかっている机の上のものが落ちたのの中にそれはあった。

ふと思いついた時にメモをしている手帳の中に。

甘い響きを持つはずのその言葉は、なぜか少しヒヤリとして、私の心に刺さった。


そこにあった日付が、昨日、先生が夜遅くに帰って来た日だったからかもしれない。

何も見なかった。何も見ていない。私はただの助手でそういう対象にならない。

普段は気にならないのに、どうして気にしてしまったのか、私にはわからなかった。

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