②月夜

 満月の夜は筆のノリが良いが、その様子が何かにとりつかれたようだとあのは言った。


 だから筆を置いて、僕はバーボンを、彼女は紅茶を飲み、菓子をつまんだ。


 月がよく見える部屋で、たとえその日が晴れていなくても、夜の茶会は行われる。

 昼間、金平糖を山ほど(この日は正確には一缶空けただけだった)食っていたのに、チョコレートに手を伸ばす僕を見て、理解できないという顔をする君の愛おしいこと。


 君も金平糖のように甘いのだろうか。

 

今となっては確かめようもないことになってしまった。

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