4.冬の茶色い幸せ

窓が少し結露して、外の寒さがにじみ出る朝。


私は台所で「幸せの茶色い飲み物」(先生談)を淹れている。

お湯を沸かしているやかんに手をかざして暖をとってしまう程冷えているが、その先の幸福への期待は、それより大きい。


やかんから白い蒸気が上がって、火を止めて、マグカップに注ぐ。


瞬間、幸せな甘い香りが私を包み込む。


「それ」を二つ用意して、先生の待つ暖かな部屋へ。


「先生、ココアできましたよ」


暖炉の前のソファーでボーッとしている先生は、大人の男性ながら、少しかわいらしい。


「ああ・・・。ありがとう。飲もうか、冷めてしまう前に」


ほっこりとした顔でマグカップを大きな手で包み込み、一口飲む。


「うまいなぁ」


浮かべておいたマシュマロは先生のお気に入り(ただし金平糖は絶対的な一位)で、口に放り込んで更に幸せそうな顔になった。冬の朝のかわいい先生だ。



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