2.3歳②

 トレーニングって言っても、難しいことはしてない。3歳児の身体で出来ることはとても限られている。


 ちょっとはしゃいだだけでエネルギー切れになってしまうからだ。以前に魔力を増やす方法を本で見つけて思わず集中してやっていたら気づいたら意識を失ってた。


 それから方針を変えてちょっとずつ魔力を増やしていくことにした。それと同時に魔法の精度を極めるなど。


 魔力を増やす方法とは、魔力を消費していかなくてはならない。それをすることによって、魔力が回復していく時に最大魔力量が少しずつ増えていくらしい。


 RPGで分かりやすく例えると、例えば今の魔力に関してのステータスが以下の場合だとする。


[満タンの状態のステータス]


【MP】

魔力量:10/10


[魔法を行使した後のステータス]


【MP】

魔力量:1/10


[魔力回復後のステータス]


【MP】

魔力量:11/11


 というような感じで増えていく。


 使う魔法や同じ魔法でも込める魔力量の多さによって消費MPも異なる。


 人それぞれだが、魔力回復後に増える魔力の量も違う。回復毎に1ずつ増える場合もあれば、回復毎に10や100をも変わる人もいる。もちろん増えないや増えづらいといったケースも存在する。


 しかし最大魔力量も無限に大きく成長するわけではない、成長“限界”が人それぞれに存在してそこへ達するとそれ以上魔力量が増えることも無くなるという。


 残念ながらこの世界に【ステータス表】なるものが存在しない。一度叫んでも出ないから出るまで叫び続けようとしたが全く出てこなく、母親に「あなたどうしたの?!」ってマジな顔で心配された。


 その反応から自分はかなりおかしいことをしているのを察して、この世界には可視化のステータスが存在しないことも知った。


 この様子だと鑑定などといったスキルは存在しなく、自分の目で経験で見る目を養わなくてはいけないなんとも少し”現実味“のある世界なのだ。


 そのお陰で自分の魔力量がどれほど増えているのかを確認する方法がないため。


 【主人公はレベルアップした!】


 とか


 【スキルポイント獲得!ポイントを振り分けますか?】


 などと言うRPGみたいな楽しみがなくなる。モチベーションだけでなく、自分の成長がどれほどなのか自分の目では分からないのである。


 うーむ……俺今の魔力量って多いのか? 少ないのか? 比べる相手がいねぇ……姉貴は魔法使ってるところ見ねぇし、お袋に聞いてもお袋は魔法には詳しくないから分からないと言われた。


 まぁ、いつか自分の実力が分かる日があるよ!


 とりあえず魔力を使い切りそうなのを感じたから魔法の練習をやめた。


 魔力を使い切ると意識を失ってしまうのがこの世界の常識らしい、この前倒れた時に聞いた。


 オレ、一つまた賢くなった。えへんっ!


  ……誰かツッコんでくれよ、寂しいだろ。


 てか魔力の源となってる力はどう言ったものなのだろうか? それが分からない、まぁいいか。


 そんなことより次だ!剣の鍛錬!今日もマイクおじさんのところへ行くぞー。


 マイクおじさんとは村に住む、一人娘を持つ男のことだ。娘は今年誕生日を迎えると14歳になる。名をマリアンヌと言う。


 姉貴より6歳も上だ。このお嬢様ったら、それはもうとても14とは思えないほどナイスバディでいらっしゃって……


 げふんげふんッ!


 胸もケツもハリが良すぎて、マジで顔を合わせる時胸かケツをガン見してしまう。その上顔がとても好みときた!


 金髪でちょっとギャルっぽいのだ。いや多分ギャルなんだろう、口調も現代っ子ギャルみたいな感じで「マジ〜? ウケる〜!」とかすごい軽い感じだ。


 その癖して意外としっかりもので面倒見が良い、おじさんとの鍛錬後にはいつも「おつかれ〜、今日も頑張ったね〜よちよち」って膝枕したり甘やかしてくれたりしている。


 俺の周り性癖どストライクな女子多すぎないか?


 ろりこん? 何を言ってる、今の俺は3歳。そのためろりこんといった言葉は今の俺には適用しない、ふはははは!!


 精神年齢?そんなもの知らん。


 しかし悲しいことに親父の部隊で副隊長を務めていた。名前はリズレットはマリアちゃんの母親でマイクの奥さんであるのだが、親父と一緒に突然消失したのであった。


 ……


 しかしそれに傷心している素振りを俺は見たことがない。お袋に「いい? マリア(María)ちゃんやマイクさんの前でお母さんのことは話しちゃダメだよ? 絶対だからね!」と念を押された。


 しばらくショックで家から出なかったと言う、俺も剣を習いたいと思い誰が剣上手?と聞いたらマイクおじさんのことを紹介された。


 それで教えを乞おうと家に来た時それは酷い有様だった、洗濯物は溜まりまくっててお風呂に入ってないのか匂いも酷い。そして食欲がなかったのか何も食べてなく、二人とも驚くくらい細かった。


 今は身体も普通になって、ちゃんと生活してる。しかしなぜ急に普通に戻れたんだ?俺はここへ毎日来て家の掃除やお袋が作った料理を持ってきて食べさせてたら気づいたら二人は元気になっていた。


 分からん……。


 お袋のご飯がおいしかったのかな?きっとそれだ!お袋の飯は最高に美味いからな!


 まぁ、そんなわけでマイクおじさんとの剣の修行がスタートしました。


 「さぁ行くよ、ユーリー君っ」


 「はいっ、ししょー!」


***


 はい、そうですね。


 今僕は地面に仰向けに倒れています。


 あぁ、お空綺麗。雲……くも……KUMO……綿飴がいっぱい…ふへへ。そ、そんなに食べられないよ〜もう私をこれ以上甘やかしてどうする気なのさッ、きゃっ。


 ……


 ヤベェ、マイクおじさんつええ……


 なんでこんな強い奴が村で警備隊なんてショボい仕事をしてるんだ?


 これおじさん騎士なってたら結構出世してたんじゃねぇの?


 いや俺が前世運動したこともないし、今世で緒lとだけ運動したから俺運動神経割といいかも!とかちょっと調子に乗ってた時期もあったけど……けど!


 なんだあれ?動きが全て読まれていた、文字通り手も足も出ない。もう1ヶ月くらいここに毎日通ってるけど、一本あげるどころか攻撃を避けれたことがない。


 「ユーリー君は運動神経は悪くないけど、やはり考えてることが単純なのかな?君の動きはとても予想しやすいよ」


 「は、はい……」


 未だにマイクおじさんの家の庭に仰向けに寝てる俺にダメなところを教えてくる。


 「何度も言ってるけど、動きが大振りすぎる。何をやるにも癖があるんだ」


 「くせ……?」


 いつもはこれでお説教は終わりなのに、いつもと違うことを言われた。


 「うん、たとえば君が私に突き技をしようとするとき君は必ず右足を後ろに下げて剣を持ち上げて狙うようにに向けてくるんだ。」


 え、なにそのくせ俺知らない。


 「もちろん勢いや速さ、鋭さがあれば動きの前に予備動作があっても問題はないよ?だけどそれじゃあただの力技なんだ、私の求めた剣ではない。」


 わたしの求めた……? な、なんかマイクおじさんすごい剣の達人みたいなことを言うな……。


 「別に予備動作をするには主流なんだ、タメを作ることで力を込めやすい。そうなんだけど……」


 マイクおじさんは遠くを見て言葉を続けた。


 「私はそのような剣を剣術だと言うには幼稚かなとは思う、皆が知ってるような同じ型の剣を力の差で優越をつけてもそれは騎士じゃなくても出来る。本来の騎士とは、力と"手数"を元に戦っていた。相手に自分が何をするのかを予想させない」


 マイクおじさんは視線を剣に落とした。


 「しかし今は手数は小手先の技で、それを極める行為は卑しい騎士道に反する精神だとも言われた。“力”で相手を圧倒するのが正しい騎士道だと……」


 マイクおじさんは俺を見つめて笑った。


 「だから、君にはそうなって欲しくない。今日から君に私の“騎士道”を教えるよ」

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